コーヒーを入れる時に、コーヒーフィルターは不可欠な道具です。そのコーヒーフィルターの素材は、主にペーパーフィルター・ネルフィルター・金属フィルターの3種類があります。
各フィルターにはそれぞれの特徴があります。そこで今回はハンドドリップ用のコーヒーフィルターの素材について、特徴、違い、メリットやデメリットをご紹介します。
目次
- コーヒーフィルターの種類
①ペーパーフィルター
a. メリット
b. デメリット
②ネルフィルター
a. メリット
b. デメリット
③金属フィルター
a. メリット
b. デメリット
④比較表 - 入れ方の注意
- 最後
■コーヒーフィルターの種類
ドリップコーヒーを入れる際に使用されているコーヒーフィルターは、主に次の3種類です。
- ペーパーフィルター
- ネルフィルター(布フィルター)
- 金属フィルター(ステンレスフィルター、メタルフィルター)
素材によってフィルターの特徴が違うため、同じ入れ方でも味わいが変わります。
そのなかで、最もポピュラーでスーパーやホームセンターなどで買えるフィルターは、ペーパーフィルターです。手に入りやすく、使い捨てが可能なため使用後の手入れの必要がないというメリットがあります。ハンドドリップの初心者でも手軽にハンドドリップを挑戦できます。
ネルフィルターは、ペーパーフィルターより少し手入れに手間がかかるため、コーヒーにこだわりのある方に向けた、「こだわり派の器具」と言われています。
金属フィルターは、ペーパーフィルターにはない、コーヒーオイルを感じる味わいが楽しめることに加え、しっかり洗浄すれば繰り返し使える魅力があります。
ここからはフィルターごとの特徴、メリットやデメリットをより詳しくご紹介します。
①ペーパーフィルター
ハンドドリップの代表的なフィルターであるペーパーフィルターは名前の通り、紙製品のため、使い捨てで手入れの必要がなく、手軽に使えます。
ペーパーフィルターの一番の特徴は、「スッキリした味わい」です。紙の細かい繊維でしっかりコーヒーオイルや微粉、雑味を濾過するため、ほかのフィルターよりすっきりした味わいとなります。
ペーパーフィルターをドリッパーにセットするため、ペーパーフィルターの形状は主に『円錐形』と『台形型』に分けられます。
円錐形フィルターはフィルター自体の形状がV形になっているため、コーヒー粉の層が『台形型』より厚く、コーヒー成分も多く抽出できます。
台形型フィルターの底は平らになっているため、お湯がコーヒー粉にムラなく馴染むのが特徴。
フィルターの形状は使用するドリッパーに依存するため、ご使用のドリッパーに合わせて使用しましょう。
またペーパーフィルターには、白い『酸素漂白フィルター』と茶色い『みさらしフィルター』があります。『酸素漂白フィルター』は酸素漂白で紙の色と匂いを除去しているため、味にこだわる方におすすめ。『みさらしフィルター』は漂白せず、水に浸して作られるため、地球環境にやさしいことが特徴です。お好みで選んで使用しましょう。
フィルターのにおいが気になる方は、ドリップ前にお湯通しをしましょう。
ペーパーフィルターのメリット
- 手に入りやすい
- 後片付けが楽
先述の通り、ペーパーフィルターはスーパーや量販店などでも販売されているため、ネルフィルターと金属フィルターに比べて手に入りやすく、初心者でも手軽にハンドドリップを挑戦することができます。
またコーヒー抽出後、フィルター自体はコーヒーかすと一緒に捨てられるため、衛生的に扱え、後片付けも簡単です。
ペーパーフィルターのデメリット
- 消耗品
- コーヒーオイルが吸収される
ペーパーフィルターは衛生的に使えるメリットがあるものの、使い捨てのため、頻繁にペーパードリップをする場合、ランニングコストがかかります。
また紙製のため、香りと風味をもつコーヒーオイルが吸収されます。豆本来の味わいが好みな方には、コーヒーオイルが吸収されることはデメリットと言えるかもしれません。
②ネルフィルター
『最もおいしい入れ方』と言われ、フランネルで作ったネルフィルターには歴史があり、コーヒー愛好家に愛されているフィルターです。
ネルフィルターの一番の特徴は、「滑らかな口当たり」のコーヒーを抽出できることです。ペーパーフィルターと金属フィルターのいいとこ取りで、コーヒーの微粉をしっかり捉えながら、コーヒー成分を抽出することができるので、マイルドなコーヒーができます。
ハンドルに装着し、手持ちで入れるタイプや、専用サーバーにのせて入れるタイプがあります。
ちなみに、お湯を上下させて抽出する『サイフォン』に用いるフィルターも、ネルフィルターです。
ネルフィルターのメリット
- コーヒー成分をしっかり抽出
- 繰り返し使用可能
ネルフィルターは袋状のため、ペーパーフィルターよりコーヒー粉が中心に寄り、粉層に厚みがあります。そのため、お湯が全体に馴染みやすく、コーヒー成分をしっかり抽出し、コクがありまろやかなコーヒーができます。
また、使い捨てのペーパーフィルターと違い、ネルフィルターはしっかり手入れをすると繰り返し使え、エコになります。
ネルフィルターのデメリット
- フィルターの手入れが必要
ネルフィルターは繰り返し使えますが、手入れの手間が必要となります。
新品のネルフィルターは、使用前にコーヒー液で煮て、フィルターをコーヒーに馴染ませながら布の糊をとります。
使用後のフィルターは、しっかり水で洗ってから水を入れた容器で、冷蔵庫に保存します。
また繰り返し使用は可能ですが、使用回数が増えるとコーヒーの微粉やコーヒーオイルがフィルターに付着し、目詰まりがおきやすくなるため、フィルターの交換が必要です。
③金属フィルター
金属フィルターは名前の通り、金属製のコーヒーフィルターです。純金製のフィルターもありますが、現在市販の金属フィルターはほとんどがステンレス製です。形状は主に円錐形ですが、ドリッパーとフィルターを一体化したものもあります。
金属フィルターの特徴は、「コーヒー成分をダイレクトに抽出できる」ことです。材質が金属のため、コーヒー液がフィルターに吸着されることなくそのまま抽出されます。そのためコクがあり、風味が強いコーヒーを楽しめます。
金属フィルターのメリット
- コーヒーオイルをしっかり抽出できる
- 繰り返し使用可能
ペーパーフィルターと違い、金属フィルターの場合、コーヒーオイルが吸収されないため、しっかり抽出され、濃厚な味わいを引き出すことができます。豆本来のもつ香りと風味をそのまま楽しむことができます。
また材質が金属のため、しっかり洗浄すれば何度でも使えます。ステンレス製の場合、錆びにくいため、衛生的に使えます。購入コストはペーパーフィルターやネルフィルターより高いですが、繰り返し使用が可能なため経済的です。
金属フィルターのデメリット
- コーヒーに微粉が混じる
- 後片付けが必要
金属フィルターのメッシュはペーパーフィルターやネルフィルターより大きいため、コーヒーの微粉がそのままフィルターを通過してコーヒーに混じってしまいます。底に沈殿した微粉は飲まないようにしましょう。
また使い捨てではないため、使用後は洗浄が必要です。しっかり洗浄しないと、匂いが移ってしまい目詰まりの原因となってしまう可能性があります。
④比較表
ペーパーフィルター | ネルフィルター | 金属フィルター | |
特徴 | ・スッキリした味わい | ・滑らかな口当たり | ・豆の成分をダイレクトに抽出できる |
メリット | ・手に入りやすい ・後片付けが楽 | ・コーヒー成分をしっかり抽出 ・繰り返し使用可能 | ・コーヒーオイルをしっかり抽出 ・繰り返し使用可能 |
デメリット | ・消耗品 ・コーヒーオイルが吸収される | ・手入れが必要 | ・コーヒーに微粉が混じる |
■入れ方の注意
ハンドドリップ用のフィルターはどのフィルターを使用しても、基本の入れ方はほとんど同じです。
ハンドドリップの入れ方はこちらでご紹介しています。
しかし、各フィルターの特徴が違うため、フィルターごとに注意しておきたいところがあります。
ペーパーフィルターの場合、円錐形と台形型があるため、使用するドリッパーに合わせたフィルターを選びましょう。
ネルフィルターは起毛面があるため、微粉が気になる方は起毛面を内側にセットすることがおすすめです。
ネルフィルターの入れ方はこちらでご紹介しています。
金属フィルターはメッシュが少し大きいため、粗挽きのコーヒーがおすすめ。微粉がフィルターを通過する量が少なくなり、目詰まりしにくいです。
金属フィルターの入れ方はこちらでご紹介しています。
■最後に
同じコーヒー豆を使用しても、フィルターの素材を変えるだけで、コーヒーの味わいが変わります。それこそがコーヒーの魅力です。
コーヒーの味に正解はありません。様々なコーヒーを飲んで、自分好みの豆や味わいを見つけることがコーヒーライフの楽しみです。
例え同じような毎日でも、コーヒーを飲むときの気分や目的が違うはず。寝起き、仕事中や就寝前に、飲みたい味わいが違うかもしれません。そのため、自分の気分や時間帯に合った違う味わいのコーヒーを飲むのも良いでしょう。
コーヒー豆を多くを用意しなくても、フィルターを変えるだけで、その日の気分に合わせて好みのコーヒーを楽しむことができます。
今回はフィルターごとの特徴、メリット・デメリットをご紹介しました。ぜひ、この記事を参考にして、フィルターの違いを試しながら、自分の好みを見つけて、楽しいコーヒータイムを過ごしましょう。