サードウェーブコーヒーを早い時期からけん引してきたグアテマラコーヒー。実は日本では古くから根強い人気があるコーヒー豆なのをご存じでしょうか。
コーヒー生産数世界第10位のグアテマラコーヒーの主な輸出先は、アメリカ・カナダに続き日本が第3位。
アメリカ・カナダは言わずと知れたコーヒー消費大国です。
そこに日本が続くということは、グアテマラコーヒーのおいしさには日本人の味覚に訴えかける何かがあると考えられないでしょうか?
今回は、日本人の舌をうならせるグアテマラコーヒーについてお話ししたいと思います。
グアテマラコーヒーにはどんな品種がある?
グアテマラにコーヒーが伝わったのは1750年頃、イエズス会の宣教師によってコーヒーの種が持ち込まれたのが始まりと言われています。
本格的な栽培が始まったのは、その後ずいぶん経った後1800年代中頃からで周辺諸国のコーヒー産業発展を追うような形で広まりました。
グアテマラで栽培されている品種のほとんどがアラビカ種ですが、現在ティピカ種はわずかとなり、ブルボン種の流れを汲むものが多くなっています。
ブルボン種の突然変異『カトゥーラ』や、ティピカ種(スマトラ種)とブルボン種の自然交配からできた『ムンドボーノ』、ティピカ種の突然変異マラゴジペとブルボン種の突然変異パカスの交配種『パカマラ』などが栽培されています。
ブルボン種と言えば、香り高く上品でまろやかなコクと甘みを併せ持つ品種ということで人気が高いコーヒーですね。
亜熱帯の温暖な気候と国土の約70%を火山に囲まれた複雑な地形、豊富なミネラルを含んだ火山灰土壌という特質を生かし、希少価値の高い優れた品種が多く栽培されていると言えるでしょう。
日本人を魅了するグアテマラコーヒーの特徴とおいしい飲み方
グアテマラには数多くのコーヒー生産エリアがあります。
多くは標高の高い山岳地帯の山肌を利用したもので、そのほとんどはシェードツリーによる日陰栽培が行われています。
というのも、日中と夜間の気温差が激しい地域で、かつ日陰栽培によりゆっくり時間を掛けて生育されたコーヒーは、より固く締まった果実味のあるものに育ち、風味豊かなコーヒー豆を生み出せるからです。
また、グアテマラでは実に95%以上のコーヒーを水洗式(ウォッシュド)で精製しており、透き通った酸味が個性に加わります。
同じ品種のコーヒー豆でも生産地や農園・精製方法によって異なった風味になることもあり、グアテマラコーヒーの味の特徴をひとつのものとして表すのは難しいのですが、総じて言えるのは複雑な味わいを持った香り高いコーヒーという点でしょう。
重厚なボディにチョコレートやナッツのようなコクと甘み、フルーティな酸味をとてもバランス良く感じられるコーヒーで、鼻から抜ける香りも花の蜜のようなほのかな甘みを残すと表現されることもあるようです。
グアテマラコーヒーのおいしい飲み方
グアテマラには優れたコーヒー豆を生産する農園がいくつもあり、単一農園によるシングルオリジンのコーヒーも手に入れることもできます。
フルーティな香りを楽しみたいなら、浅煎りがおすすめ。
グアテマラのシングルオリジンは砂糖を加えるとコクが増しますので、もし飲む機会があったら、まずブラックで飲んでみて、その後砂糖を加えて味の変化を楽しむのも良いでしょう。
また、グアテマラコーヒーはブレンドとしても活躍できるコーヒー豆です。
深煎りにしても甘さと酸味の個性が残るので、マンデリンと合わせることでほろ苦く深いコクの大人の味を楽しめますよ。
より軽く華やかな酸味がお好みなら、果実の香りと甘さを味わえるモカとのブレンドもおすすめです。
グアテマラコーヒーのグレード・等級は何で決まる?
コーヒー生産国の多くが、コーヒー豆の品質を表すグレーディング(等級分け)を行っていることをご存じの方も多いと思います。
私たち消費者がコーヒー豆を買う時は、どこの国のどんな品種なのかなど、パックに書かれている情報を見てコーヒー豆を選べますよね。
ただし、コーヒーの優劣を比較する際、何を重要視するかによってグレーディングの方法も違ってきますし、いくつのランクに分けるかも、国によってそれぞれ異なります。
では、グアテマラではどのようなグレーディングが行われているのでしょうか?
世界的に見るとグレーディングの方法は、『コーヒー豆生産地の標高別』『コーヒー豆の大きさ別』『一定数量内における不良豆の含有数別』の3つに分けられます。
グアテマラを始め、ホンジュラスやエルサルバドルなど中米の国々では『コーヒー豆生産地の標高別』によるグレーディングを行う国が多いようです。
標高別のグレーディングでは、生産地の標高が高いほど高品質のコーヒーであると評価されます。
グアテマラでは山の斜面を用いた畑や農園でコーヒーを栽培することが多く、昼夜の寒暖差が大きい高地でゆっくり育ったコーヒー豆の方が風味が豊かであるとの考えから、生産地の標高を基準にしたグレーディングが行われているのでしょう。
グアテマラコーヒーは基本的には、上からSHB(ストリクトリー ハード ビーン)・HB(ハードビーン)・SH(セミ ハード ビーン)・EPW(エクストラ プライム ウォッシュド)・PW(プライム ウォッシュド)・EGW(エクストラ グッド ウォッシュド)・GW(グッド ウォッシュド)の7ランクに分けられます。
最高ランクのSHB(ストリクトリー ハード ビーン)は、標高1350m以上のエリアで収穫されたコーヒー豆です。
その次のHB(ハードビーン)は標高1200mから1350mのエリア、またその次のSH(セミハードビーン)は標高1200mから1350mのエリア、というように150mの標高差ごとに細かくランク分けされています。
また一方で、グアテマラ国内にはSHBクラスの標高より低い土地でも、希少価値の高いスペシャルティコーヒーなど優れたコーヒー豆を生産する農園も少なくありません。
このような場合、評議会で受賞した豆や特定の条件を満たした産地・農園で生産されたスペシャルティコーヒーなどは、生産地の標高にとらわれることない方法で評価され、実際の標高よりも高いエリアの等級が与えられることになっています。
グアテマラコーヒーを代表する8つの生産エリア
グアテマラは日本の約30%の広さながら、コーヒー生産数世界第10位に位置するコーヒー生産大国で、安定的に質の高いコーヒーを生産できる国として知られています。
国内で広くコーヒーを栽培していますが、その中でも特に上質なコーヒー豆を生産している地域として有名なのが、アンティグアを始めとする8つの地域です。
実は、この8つのうち7つの地域から厳選されたコーヒー豆をブレンドして作られた缶コーヒーが、あの『BOSS レインボーマウンテンブレンド』なんですよ。
意外と身近なところでグアテマラコーヒーを飲んでいることに、改めて気づかされますね。
8つの地域のコーヒー豆について、特徴をそれぞれまとめてみましたので参考にしてみてください。
・アンティグア:グアテマラで最古のコーヒー栽培地。伝統と品質の高さからグアテマラコーヒーの代名詞とも言え、スペシャルティコーヒーの栽培地としても世界的に有名な地域。豊かな香りと甘さで上品な味わいが特徴。
・フエフエテナンゴ:強い酸味とコクがありワインを思わせるフレーバー。
・アカテナンゴ:華やかな香りと酸味が際立つがバランス良く、長い余韻を味わえる。
・フライハーネス:キリッとした酸味が感じられるフルーティな味わい。
・サンマルコ:花のような繊細な香りに深いコクと強い酸味が加わる独特な味わい。
・アティトラン:シトラスを感じさせるフルーティな酸味とキャラメルのような甘いコクが特徴。
・ニューオリエンテ:チョコレートを思わせる豊かなコクのある風味で、均整の取れたおいしさ。
・コバン:ダークチョコのような重厚な風味を持ちながら、すっきりしたクリアな味わい。
まさに7色に輝く虹のごとく、地域によってコーヒーに個性があるようですね。
カフェで見かける機会があったら、ぜひ試してみてください。
グアテマラコーヒーの魅力は奥深い
ストレートで飲んでもブレンドで飲んでも個性がのぞくグアテマラコーヒーは、複雑な味わいがあって日本人を飽きさせない魅力があるのでしょう。
個性あふれる8つの生産エリアが、グアテマラコーヒーの魅力をさらに奥深く感じさせるようですね。
数多くの上質なコーヒー豆を生み出すグアテマラの地を思い描くと、何気なく飲んでいたレインボーマウンテンも、明日からちょっと特別な味わいに感じられるかもしれませんよ。