コーヒーのことがもっと知りたい。上手に淹れられるようになりたい。カフェを開業したい。より深く知識を深めて、お店の売り上げにつなげたい。そんな思いを抱いたとき頼れる学校が「UCCコーヒーアカデミー」である。では、どんな講師が教えてくれるのか? 開業に成功する人とは?コーヒーの最高学府であるアカデミーを訪ねた。
「カップから農園まで」を一貫して手掛けるコーヒーの専門学校
東京都港区。緑の眩しい芝公園からもほど近く、御成門駅はもとより新橋駅、虎ノ門ヒルズ駅、神谷町駅からも徒歩圏内の至便な地に「UCCコーヒーアカデミー東京」はある。充実した設備を誇る広い教室では、スペシャリストによる本格的な講義が受けられ初心者からプロまでレベルに応じたカリキュラムがある、いわばコーヒーの専門学校である。
学校の扉を開けると、講師の川口雅也さんが、マスクをしたままでも笑顔とわかる朗らかさで出迎えてくれた。川口さんは学校の成り立ちをこう説明する。
「母体となるUCCグループは、1933年の創業から、『カップから農園まで』というモットーのもと一貫したコーヒー事業を構築してきました。かねてから、コーヒーの魅力を伝える施設『UCCコーヒー博物館』でコーヒー教室を実施してきました。コーヒー伝道師として、より体系的・段階的にノウハウを広めるべく、『UCCコーヒーアカデミー』が誕生したのです」
「UCCコーヒーアカデミー」講師の川口雅也さん。大学卒業後、UCC上島珈琲株式会社へ就職し、営業職に就いていた2004年にコーヒーアドバイザーの資格を取得。2015年より、アカデミーの講師になった。
具体的にどんなコースがあるかというと、体験コース、ベーシックコース、プロフェッショナルコース、スペシャリストコースとあり、コーヒーに関する初心者からカフェ経営などプロを目指す層にまで対応している。CQI(Coffee Quality Institute)認定、国際的なコーヒー鑑定の資格「Qグレーダー」を取得できる認定LABでもある。 教室はメインとサブがあり、焙煎機も備えてあり、ドリップやエスプレッソマシーン、エアロプレスといった抽出方法が学べる。さらには、UCCグループの総合ショールームと一体になっているため、50台に及ぶマシンで数多の豆の抽出を試すこともできる、と大充実の施設なのだ。
「UCCコーヒーアカデミー東京」のメインセミナールーム。広く明るく、設備が整った教室でコーヒーを基礎から学べる。パーテーションの取り付けなどコロナ対策にも余念がない。
焙煎機「LUCKY COFFEE ROASTER」を導入してあり、焙煎技術も学べる。
総合ショールームを併設しており、グループ会社で扱うコーヒー豆。商談の際は試飲もできる。
コーヒーのスペシャリストが講師です。
では、川口さんをはじめ、講師はどんな方たちなのか? これがまたすごい。全員、UCCグループの社内資格「UCCコーヒーアドバイザー」を取得しており(合格率は2~3%というハードル高き資格!)、さらにQグレーダーやブラジルコーヒーの鑑定士といった国際的資格を取得している人や、コーヒーの競技会で入賞者もいる。
「神戸校も含めると講師全14人が、食に関する資格やコンテストでの入賞実績があり、その総数は69に上ります。みんなコーヒーのスペシャリストですので、丁寧でわかりやすい解説実技指導に努めています」
こちらも講師の村田果穂さん。UCCコーヒーマスターズ・ペーパードリップ部門優勝、日本スペシャルティコーヒー協会主宰のコーヒー抽出の競技大会「ジャパンブリューワーズカップ2014/2015」にて準優勝を果たすなど、数々の競技会で上位に入賞。最高品質のコーヒーにのみ与えられる称号「COE(Cup of Excellence)」国際審査員の側面も持ち合わせるコーヒーのスペシャリスト。
カフェ開業までのサポートと、成功する人・失敗する人の傾向。
十人十色ではあるものの、カフェを開業したい人にはどんなサポートをしてくれるのだろうか。 川口さんはこう語る。 「まずは座学で、運営にかかわるノウハウをレクチャーします。オーナーとして必要なマーケティングの知識や、事業計画書の書き方、そして経営のマネージメントなどですね。開業に必要な設備や日常的に使うコーヒー豆や消耗品もグループの専門企業を紹介して提案することが可能で、独立までサポートします。開業後は、開業者向けのメニュー提案のセミナーなどを開いており、トータルでサポートすることを目指しています」
では、これまで多くの卒業生を見てきて、成功する人の傾向とは?
「カフェ経営を成功させるには、コンセプトがしっかり決まっていること。そしてそのコンセプトがお店の立地のターゲット層と一致していることが重要です。また、物件が決まっているか否かでも大きく変わります。物件が先に決まっている場合は、その立地のターゲット層をしっかり見極めて、それに合ったコンセプトを組み立てること。決まっていない場合は、このお店で何がやりたいかをコンセプト化していくことから始めなくてはいけません。物件に見合わないコンセプトを無理にはめようとすると、ちぐはぐになってしまい、経営も難しくなってしまいます」
「コーヒーの最高学府」として、アカデミーが目指すこと。
最後に、川口さんに「UCCコーヒーアカデミー」が目指すことを訊いてみた。
「あらためてコーヒーを根底から知ることで、発見があるものです。たとえばバリスタで技術は高くても、違う角度のことは知らないこともある、とかですね。アカデミーではトータルで理解を深めることができます。“コーヒーの最高学府”として、高度なコーヒー教育を行うとともに、一人でも多くのファンをつくって、コーヒーの裾野を広げたいですね」
▼アカデミーのデータ
UCCコーヒーアカデミー
東京校 東京都港区新橋6丁目1-11 Daiwa御成門ビル1階
03-5400-5705
地下鉄「御成門」駅下車。A4出口徒歩1分。
神戸校 神戸市中央区港島中町7丁目7番7
078-302-8288
https://www.ucc.co.jp/academy/
▼クレジット
写真:Sonia Cao 文:沼 由美子
Sonia Cao (ソニア・カォ)
コミュニティ デザイナー/フォトグラファー
デジタルエージェンシーにてソーシャルメディアマーケティングの分野で、様々な業界の企業・ブラント・商品とユーザーの間のコミュニケーション強化に関わる仕事を経てから、強いコーヒーとカクテル愛が募り、今はフリーランスとして飲食業界のプロモーション事業に従事。バリスタとバーテンダーの架け橋としても活動。
沼 由美子
ライター/編集者
横浜生まれ、東京住まい。バー巡りがライフワーク。とくに日本のバー文化の黎明期を支えてきた“おじいさんバーテンダー”にシビれる。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)、取材・執筆に『日本全国 ご飯のとも お米マイスター推薦の100品』(リトルモア)、『読本 本格焼酎。』(プレジデント社)などがある。