コーヒーは、「コーヒーノキ(コーヒーの木)」になる真っ赤な木の実を収穫し、さまざまな生産処理方法で加工されたものを焙煎したのち、粉砕・抽出したものです。
コーヒーの起源ははっきりとはわかっていませんが、10~15世紀ごろにアラビアもしくはエチオピアで発見された、と言われています。
初めは薬として知られたコーヒーですが、13世紀ごろから飲み物として中東からヨーロッパへと広がり、その後世界中に広まりました。
このように古くから人々に親しまれ、今日でも我々にとっておなじみの飲みものであるコーヒーですが、元となるコーヒーノキがどのようなものか、詳しく知っている人は意外と少ないかもしれません。
この記事では、コーヒーの元となるコーヒーノキの種類やライフサイクル、育て方について詳しく解説します。
コーヒーノキとは?
コーヒーノキとは、一体どんな木なのでしょうか?
コーヒーノキはアカネ科コーヒーノキ属の植物で、原産地はエチオピアです。
常緑の低木で、コーヒー豆を採取するためだけでなく、観葉植物としても人気があります。
コーヒーノキ1本から取れる果実の量は約3kgで、生産処理すると約500gのコーヒー豆になり、その後焙煎すると約400gのコーヒー豆ができます。
一般的に1杯のコーヒーを入れるためには約10gのコーヒーの粉を使用するため、1本のコーヒーノキからは約40杯数分のコーヒーが取れる計算になります。
ですから、1日3杯のコーヒーを飲む人の場合、1年で約27本ものコーヒーノキの果実を消費しています。
コーヒーノキが成木になるのに約3年かかります。私たちが1杯のコーヒーを飲むために多くの時間が費やされていることを、感謝して飲まなくてはいけませんね。
コーヒーノキの3大原種
ところでこのコーヒーノキ、種類は1つというわけではなく、3大原種と言われるアラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種の3つの種類があります。
それぞれの特徴について詳しく解説します。
アラビカ種
エチオピア原産で、風味が良く酸味が強いのが特徴のコーヒー豆で、コーヒー豆の流通量の60~70%を占めています。
背が高く7~8mもの高さになりますが、収穫しやすいように3m程度に剪定(せんてい)されて栽培されています。
ジャスミンのような芳香がする真っ白い花が咲き、「コーヒーチェリー」と呼ばれるさくらんぼに色や形が似た真っ赤な実をつけます。
収穫量が少なく病害虫に弱い品種ですが、現在では品種改良が進んでいます。
ロブスタ種
アフリカのコンゴ盆地が原産地で、カネフォーラ種の変種の1つと言われています。
苦味や渋みが強いため、インスタントコーヒーや缶コーヒー、ブレンドに多く使われているコーヒー豆です。
高温多湿や病害虫に強く育てやすいのが特徴の1つで、ベトナムやインドネシアで生産されています。
アラビカ種の次に多く栽培されており、コーヒー豆の流通量の30~40%を占めています。
リベリカ種
アフリカのリベリアが原産ですが、現在ではフィリピンやマレーシアなどの低地で生産されています。菱形の果実で、熟れると赤や黄色になります。
酸味が少なく苦味が強い、品質や味がアラビカ種やロブスタ種より劣る、実が熟すのに時間がかかる、木が高く10m以上にもなるため収穫しにくい、などの理由で生産量が少なく、コーヒー全体の生産量の1%もありません。
ライフサイクル
では、コーヒーノキの寿命はどれくらなのでしょうか?
コーヒーの種はまいてから40~60日で芽がでます。半年かけて50㎝ほどの苗木に育ててから、生育状態の良いものを厳選して農場に植え替えてから育てます。
3~5年かけて背の高さが1mを越し、大人の背の高さになると開花し実がなりますが、熟すのに約9ヶ月もかかります。その後は50~60年もの間果実を実らせるので、1年サイクルで収穫します。
コーヒーノキの育て方
コーヒー豆と言えば、南米やアフリカで栽培されているイメージが強いですが、実はコーヒーノキは、自宅で観葉植物として育てながら実を収穫して自家製コーヒーを作ることもできます。
失敗しない育て方のコツを紹介するので、ぜひ参考にしてください。
苗木から育てる
コーヒーノキは種から育てることもできますが、苗木を購入するとより手軽に育てることができます。自宅で育てる場合は、コンパクトな形に育つ「リサ・アラビカ種」がおすすめです。
リサ・アラビカ種は、樹の形がコンパクトなので鉢植えで育てるのに向いている品種です。
鉢植えで育てる
暑い地域で栽培されているので暑さに強いイメージがあるかもしれませんが、真夏の直射日光を浴びると葉が焼けてしまうので注意が必要です。
寒さにも弱いので、栽培は手軽に移動ができる鉢植えで行うとよいでしょう。
置き場所
春・秋は庭や玄関先などで日に当てましょう。真夏は直射日光を避け木陰などに、冬は室内に移動させてください。
室内に置く場合はガラスの近くの寒い場所は避け、温かい場所に置きましょう。
植え替え
コーヒーノキは根を詰まらせやすいため、1、2年に1度は大きな鉢に植え替えてください。
種から育てる時は、初めに出た葉(子葉)の次に出てくる葉(本葉)の枚数が4~6枚に増えたら大きな鉢に移しましょう。
水やり
春から秋にかけては、土の表面が乾燥したら水をたっぷり与えます。
冬は水のやりすぎに注意し、表面が乾き始めたら少なめに与えてください。
肥料
5~10月の生育期には、効果が出る期間が持続する緩効性の肥料を与えます。夏は肥料は必要ありません。
葉の色が悪い時には、すぐに効果が現れる速効性の液体肥料がおすすめです。
栽培について分からない点は、コーヒーノキの種や苗を販売しているお店へ直接相談してみるのもよいでしょう。
自宅でコーヒーノキを育てて自家製コーヒーを飲もう
このように、コーヒーノキは比較的育てやすため、観葉植物としても人気があります。
うまく栽培できれば、コーヒー豆を収穫して自宅でオリジナルのコーヒーを飲むこともできるので、コーヒー党の方は一度チャレンジしてみてはいかがでしょうか?
インテリアとして楽しみながら、長い目で果実が実るのを待ちましょう。
世界でたった1つ、自分だけのオリジナルコーヒーを使ったブレイクタイムは、あなたに究極の癒やしを与えてくれるでしょう。