夏になると多くの人が悩まされる夏バテ。脱水症状や栄養失調、睡眠が十分に取れないなどさまざまな体調不良を引き起こす。夏に近づくにつれ、多くのメディアでそれらの症状を防ぐための様々な対策が紹介されている。そんな中、コーヒーは夏バテ対策として有効なのだろうか。本記事では、夏バテにコーヒーが有効なのかどうかをご紹介するとともに、夏だからこそ注意するべきコーヒーの飲み方についてもお話ししていく。
そもそも夏バテはなぜ起きるのか?
夏バテとは、暑さによって全身の疲労感や食欲不信といった症状が引き起こされる体調不良を指す。主な原因は室内外の温度差による自律神経の乱れ。人の身体には自律神経によって血圧や消化、代謝など体内の環境を調節する機能が備わっている。それが、屋内の冷房が効いた環境と屋外の高温という温度差によって自律神経が乱れてしまう。自律神経の乱れに伴い、疲労感や食欲不振などの体調不良が引き起こされる。これが夏バテの症状が引き起こされる仕組み。
また、自律神経の乱れ以外にも、発汗過剰による水分・ミネラル不足や冷たいものの摂りすぎによる胃腸の働きの低下も夏バテの症状を促進させてしまう要因となる。そのため、夏バテ対策としては室内温度と外気温との差を小さくすることやこまめな水分補給、冷たい飲み物の摂取には気を付けることが挙げられる。ちなみに、エアコンの設定温度は外気温マイナス3~4℃が目安だそう。
コーヒーは夏バテ対策になるのか
夏バテ対策の一つにこまめな水分補給が挙げられることはすでに話した。気温が高い環境下や運動などで体温が上昇したとき、人の体は一定の体温を保つために汗が大切な役割を果たしている。発汗などにより失った水分はこまめに補給しなければ、生体機能に影響が出て頭痛やめまいといった体調不良を引き起こす。そのため、暑い夏にはこまめな水分補給が大切だと言われている。成人で、一日およそ2.5Lの水分が失われるために気温の高い日は意識して水分補給をする必要がある。
コーヒーが水分補給になるかどうかについての研究
水分補給において気を付けなければならないことがある。例えば、利尿作用のあるアルコール。ビールは飲んだ量の1.5倍の水分が排泄されるそうなので水分補給にならないといわれている。ではコーヒーはどうなのかというと、アルコールと同じように利尿作用のある「カフェイン」が含まれている。なので、アルコールと同じように水分補給にならないのか、というとそういうわけでもないようだ。コーヒーを日ごろから飲んでいる健常者50名を対象に、コーヒー200 mlを4杯、3日間摂取し、体水分量と尿量を測定した結果、同量の水を摂取した場合と比較して有意な差がないという結果が出ている研究がある。
つまり、コーヒーによる水分補給は水による水分補給と同様の効果が期待できるという。とはいえ厚労省から、アルコールや多量のカフェインが含まれる飲料は水分補給として適していないという旨が明記されているから、こまめにコーヒーを飲んでいても夏バテの症状があらわれると感じている人は、コーヒーだけでなく水も摂取した方がいいと思う。
コーヒーの効果的な飲み方と注意すること
夏にコーヒーを飲むとき、注意することはお腹を冷やさないことと糖質を摂りすぎないこと。前者は胃腸の働きが低下して栄養素を十分に吸収することができなくなる。後者は暑さによる発汗で糖質をエネルギーに変換する役割を持つビタミンB1が不足しやすいため、糖質を摂りすぎるとエネルギーに変換できずに疲れやすい状態に陥ってしまうから。
また、糖質が変換できずに残ってしまうと脂肪として蓄積してしまう。こういった理由から、アイスコーヒーを一気に流し込むことを控えることと、ブラックで飲むことで胃腸への負担を軽減できる。
最後に
本記事では、コーヒーが夏バテ対策として有効なのかを紹介するとともに、夏にコーヒーを飲む際の注意点についてもお話しした。念のためにもう一度お話ししておくけど、コーヒーにはカフェインが含まれているから利尿作用がある。いくら研究結果で水と同様の水分補給効果が見込めるといっても、自分の健康状態を確認しながら自分自身の適正量を図っていってほしい。体を冷やしすぎないことを意識して、夏場も日々、コーヒーを楽しもう。
参照url:自律神経系の概要
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