暑い夏、熱帯夜など寝苦しい日が続いたりすると、体は疲れているのに夜中に何度も目を覚ましてしまったり、夜中に目は覚めないとしても眠りが浅く、朝起きた時に昨日の疲れが取れていないと感じたりする人は多いのではないでしょうか。
睡眠の質を良くするためには、シャワーではなく湯船にしっかり浸かったり、半身浴をしてみたり、また、寝る前のヨガやストレッチを行ってみたりすることが良いと言われています。
けれども、忙しい日々の中で毎晩これらを実践するのは、時間的にも難しいこともしばしばありますよね。
そんな時は、夜寝る前に1杯のコーヒーを飲んでみてはいかがでしょう。翌朝の目覚めがスッキリとし、気持ち良い朝を迎えられるかもしれませんよ。
今回は、夜にコーヒーを飲むことで得られるメリットや、夜コーヒーの効果的な飲み方を紹介します。
夜コーヒーがおすすめの理由
夜コーヒーを飲むと聞いて「夜にコーヒーを飲むと、カフェインのせいでよけい眠れなくなるのでは?」そう思った人もいるでしょう。
確かに、コーヒーに含まれるカフェインには強い覚醒作用があることがよく知られています。そのため、夜にコーヒーを飲むのはタブーだと長い間捉えられていました。
しかしながら、長年のコーヒーに関する研究の結果、最近では寝る前に飲む適量のコーヒーには翌朝の目覚めを良くする効果があることがわかってきたのです。
夜のコーヒーがおすすめの理由3つを詳しく解説しましょう。
【スムーズに眠りにつける】
コーヒーに含まれるカフェインには血管を拡張する働きがあり、体中をめぐる血液の流れが良くなります。そして、血行が促進されると新陳代謝が活発になるほか、体の中にこもっている熱も放出されやすくなっていくのです。
人が眠りにつきやすい状態というのは、体が温まり体温が上昇した後にゆっくりと体温が下がっていく時です。つまり、血行が促進されて体が温まった後は熱が放出されていき、スムーズに寝つけるようになるということです。
【筋肉の疲れが取れる】
これには、ドーパミンによる疲労回復効果と、血行が促進されて新陳代謝が高まることが関連しています。筋肉を使うと、筋肉の中には疲労物質が溜まっていくのですが、これらは体内に排出される必要があります。
代謝が高まるということは、体に不要なものを体外に排出しようとする働きが強まるということですので、結果的に筋肉の疲労回復にもつながるのです。
【脳のリラックス効果が得られる】
コーヒー好きの人は特に、コーヒーの香りに対し「何だかほっとして落ち着く」という感情を持つ人も多いようです。これも実は科学的な根拠があるもので、コーヒーの香り成分『ピラジン』には心を落ち着かせてリラックスさせる効果があると言われています。
夜寝る前にリラックスした状態でいると脳波にα波が出やすくなり、日中に働く交感神経と寝ている間のリカバリーに働く副交感神経のスイッチが上手くいくため、睡眠の質が上がるのです。朝の目覚めがスッキリとするのは、このためです。
ちなみに、コーヒー豆の種類によっても香り成分が異なり、「ブルーマウンテン」や「グアテマラ」の香りはα波を強く引き出すと言われています。
その日の気分でコーヒー豆を選ぶ楽しみもありますが、夜には眠りにつくためのコーヒー豆選びをしてみても良いかもしれませんね。
夜コーヒーを飲むために、おすすめの飲み方はある?
夜のコーヒーが質の良い睡眠に働きかけ、朝の目覚めをスッキリさせてくれることがわかりましたね。
では、夜のコーヒーを効果的にするために注意しておきたいポイントはあるのでしょうか?
夜コーヒーを飲むのに、こう飲まなければならないということはありませんが、いずれもカフェインの影響を考慮するもので注意しておきたいポイントが2つだけあります。
・100ml程度の量に留めておく
・ブラックで飲まない
ということです。これはカフェインの量や作用が強すぎると、利尿作用でトイレに起きやすくなったり、脳が覚醒状態になったりして睡眠の妨げになりかねないという理由からです。
好きなコーヒーでも、たくさん飲めば良いということではなく、あくまでも寝る前に飲む「適量」のコーヒーが翌朝のスッキリとした目覚めをもたらす、ということですね。
また、これら2つのポイントや、夜コーヒーの効果を押さえたうえでおすすめの飲み方はと言うと、以下のような飲み方です。
1.アイスコーヒーではなくホットコーヒーにする
アイスコーヒーで体を冷やしてしまうと、いったん体温を上昇させる働きが鈍くなってしまいますし、トイレが近くなる可能性も出てしまいます。また、リラックス効果がある香りも、ホットの方が強く香りますので、より効果的と言えるでしょう。
2.ミルクをたっぷり入れて飲む
ミルクに含まれる「トリプトファン」は睡眠ホルモンである「セロトニン」を生み出しますし、「カルシウム」には脳の興奮を抑制する働きがありますので、質の良い睡眠につながります。
3.香りや味を堪能しながら、ゆっくり飲む
コーヒーの香りやミルクの甘みを味わいながら、時間をかけてゆっくり飲むことで、心も落ち着きよりリラックスできるでしょう。30分ほどたてばカフェインの効果も出ますので、ベッドに入るのに丁度良い時間になりますよ。
4.コーヒーの量やデカフェで調整する
カフェインへの耐性には個人差がありますので、カフェインの効果が強く出やすい人はりコーヒーの量を少なくしたり、デカフェを選んだりして調整すると良いでしょう。
また、夜コーヒーを飲む時間にスマホなどを使っていると、脳を覚醒させて睡眠から遠ざかってしまいます。コーヒーの時間以降はスマホを遠ざける習慣も、同時につけておきたいですね。
新しいコーヒーとの暮らし方「コーヒーで快眠を」
これまでタブー視されてきた夜コーヒーは、もはや過去の話。
夜寝る前のコーヒーは、適度な量さえ守れば朝の目覚めをスッキリとさせる効果があることも長い間の研究でわかってきました。
これからは、コーヒー豆の種類、飲む時間、飲む温度や量などに変化をつけて、体に良いコーヒーの飲み方も身につけていきたいですね。