「1日何杯くらいコーヒー飲みますか?」とよく聞かれます。だいたい6〜7杯くらいですが、朝から晩まで一日中飲みます。夜だって飲みたい気分であればいつだってコーヒータイムです。「夜コーヒー飲んだら眠れなくなるでしょ?」というのもよく聞かれます。コーヒーにはカフェインが多く含まれているから、夜に飲むと目が覚めちゃうっていうことですけど、果たして「寝られなくなる」ほどなのかどうかというところがポイントですね。
カフェインの仕組み
わたしは一日中コーヒーを飲んでいることもあって、たぶんカフェインへの耐性が強い方で夜寝られなくなることはないんです。(長年のトレーニングの賜物です!笑)でもたしかにカフェインは眠気覚ましになります。ではカフェインがどうして目が覚めるのか、ちょっとイラストで説明しますね。
眠気のキーマンは「アデノシン」。これが出てきて受容体と結びつくと眠気が完成して眠たくなっちゃうんです。でもカフェインが登場すると、受容体がカフェインとくっついて、アデノシンがひとりぼっちになっちゃうんです。すると眠気が成立しなくなってしまうんですね。というわけで、カフェインは眠気を阻止する役割をするんです。
こういう仕組みなのでカフェインを摂ると、体内時計が起こす自然な眠気がストップされるため、夜飲むと眠られなくなるということ。ではどれくらい眠れなくなるものなのか、ですよね。
どれくらい目が覚めるの?
ちゃんと実験研究されています!寝る3時間前にコーヒーを飲んだらどれくらい眠気がずれて、眠れなくなってしまうのかという実験結果がこちら。
エスプレッソショット2杯で40分ずれます。寝る前にエスプレッソショットをくいっと飲む人はあまりいないと思いますが、例えばトールサイズのラテにはエスプレッソショットが1杯入っているので、夕飯後におしゃべりしながら大きめのカップでラテを2杯飲んだら、いつもの就寝時間にベッドに入っても40分くらいは眠れずゴロゴロしてしまう感じです。
「ほら〜コーヒー飲んだら夜眠たくなくなっちゃうじゃん!」って思いますよね。でも寝れなくなっちゃうわけではないんです。眠気がうしろにずれてしまうということですね。ちなみに、実はコーヒーよりもっと強力な眠気覚ましがあります。
明るい光!
まさかの85分後ろ倒しです。コーヒーよりよっぽどひどいですね。寝る前に視覚的な刺激があるのはよくないんですよね。だからベッドに入ったらスマホを見ないほうがいいってよく聞きますもんね。
明るい光の下でエスプレッソを2杯飲もうものなら、2時間は眠れなくなりますね(笑)!
就寝5時間前までにしよう
カフェインは摂取した後だいたい2〜4時間効果が持続して、6時間もすれば体の中から消えて行ってしまいます。なので、本当はコーヒーを飲んだからって朝まで寝られないなんてことはないんですが、カフェインに敏感な人や夜いつも通りの時間に自然に眠りにつきたいという人は、寝る前の5時間くらいからはコーヒーは控える、もしくはディカフェにするといいかもしれません。でも夜のコーヒーってほっこりしていいですよね。夜飲みたい時はミルク多めのカフェオレなどがおすすめです。
【岩田リョウコ氏プロフィール】
シアトル在住中の2012年にコーヒーの基本、トリビアなどをわかりやすくイラストで説明するコーヒーサイト「I Love Coffee」を立ち上げる。月間ページビュー150万のサイトに成長。2015年にはサイトが書籍化され、Amazonランキング全米1位のベストセラーに。世界5ヵ国で翻訳出版されている。著書に『週末フィンランド ちょっと疲れたら一番近いヨーロッパへ』(大和書房)、『エンジョイ!クラフトビール 人生最高の一杯を求めて』(KADOKAWA)、『コーヒーがないと生きていけない! 毎日がちょっとだけ変わる楽しみ方』(大和書房)、『HAVE A GOOD SAUNA! 休日ふらりとサウナ旅』(いろは出版)がある。
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