販売されているコーヒー豆のパッケージの裏面には、必ずラベルが付いています。このラベルを見ることで、コーヒーの名称や賞味期限だけでなく、さまざまな情報を読み取ることができるのです。
そこで今回は、コーヒー豆についているラベルについて、詳しく解説します。
普段、内容量や賞味期限くらいしか見ていなかったという方も、この記事を読めばきっとラベルの隅々までチェックしたくなりますよ。
必要な表示とは?
まずは、コーヒー豆を販売するにあたって、必ずラベルに明記しなければならない表示を紹介します。
名称
ラベルのトップに記される、『品名』とも表される部分です。ほぼ、『レギュラーコーヒー』と表示されることが多いでしょう。その後ろに『豆、粉、挽いたもの』など書かれています。
パッケージの上からでは、豆が挽いてあるものなのか、そのままの豆なのか、わかりにくいためです。
原材料名
品名の下に表示されているのが、原材料名。『コーヒー豆 (コロンビア)』などと記される部分です。コーヒー豆の場合、基本的にはコーヒー豆100%でないと、レギュラーコーヒーとして販売できません。
また、かっこ内には生豆原産国名が書かれています。なお、ブレンドの場合は、豆の比率が多い生産国から順に表示することが、原則となっています。
内容量
「この商品はどれくらい入ってるのかな?」と購入する時にチェックする方も多いことでしょう。
この部分は、『内容量 200グラム(g)』といったように、グラム(g)またはキログラム(kg)単位で表示されています。
賞味期限
使用していく中で、「これの期限いつまでだろう?」と気になることもありますよね。賞味期限は、『2021.12.31』あるいは『令和3年12月31日』などと記されます。
ラベルに一括表示ができない時には、賞味期限のみ瓶底に記載される場合もあります。
保存方法
保存する時の注意点が書かれている部分です。『開封後は高温多湿を避け冷暗所で保存してください』といったように記されています。
香りや風味を保つためにも、直射日光を避けるなど、保存方法に書かれていることを守るようにしましょう。また、保存方法に加え、使用上の注意が書かれている場合もあります。
使用後はしっかりと封を閉じるなど、コーヒーを美味しく保つための注意が書かれていますので、チェックしてください。
補足情報からコーヒー豆の栽培ストーリーが見えてくる?
必要事項に加えて、ここからはコーヒー豆がどんな場所で作られたのか、どのように精製されたかなどがわかる、補足情報の表示を見ていきましょう。
標高
ラベルに標高が記されているものもあります。コーヒー豆は標高の高い地域で栽培され、寒暖差が大きいほどコーヒーチェリーの身が締まり熟成されると言われています。
そのため、標高をあえて表示しているということは、良質な風味のコーヒーである証拠でもあるのです。
品種
コーヒーは大きく分けて『アラビカ種』と『カネフォラ種(ロブスタ種)』の2つの品種に分かれています。
品種によって味の特徴も違ってくるため、コーヒー好きな方には、欠かせないチェックポイントです。フルーティーで酸味があるものや、甘味を感じるもの、強いコクを感じるものまでさまざまです。
また、アラビカ種の中からまたさらに細かく分類され、銘柄が付いていますので、まずは品種で飲み比べしてみるのもおすすめです。
生産地域
コーヒー豆が作られた地域を表しています。栽培されている国の中の、どの地域で作られているのかをより深く知ることができます。日本でいう都道府県のような区分です。
生産地域がわかることで、どのような環境で作られているのか、どのような歴史があるのか興味を持つきっかけにもなりますよ。
精製方法
この部分の表示を見ることで、コーヒーの精製方法がわかります。細かく分けるといろいろな精製方法がありますが、代表的なのは『乾燥式』と『ウォッシュド式』の2種類です。
乾燥式とは、コーヒーチェリーをそのまま天日干しして乾燥させる、最も古くから使われている精製法です。乾燥に10日~30日と時間がかかるため、雨季と乾季がはっきり分かれている地域で取り入れられています。
一方、ウォッシュド方式は、水洗式とも呼ばれており、コーヒーチェリーを乾燥させる前に、一度水で洗い流す方法です。
機械で外皮と果肉を取り除いた後、ヌルヌルとした粘液質を水で洗い流してから干すことで、乾燥期間を4日~10日間に短縮することができます。湿気が多く、長時間天日干しすることが難しい地域で行われているのが特徴です。
また、精製方法によっても味に違いがあり、乾燥式は『穏やかな酸味で独特な香り』、ウォッシュド式は『酸味がありすっきりとした味わい』など、それぞれに個性があります。
コーヒーを選ぶ時に、求める味をイメージしながら精製方法もチェックすると良いでしょう。
食品表示の義務について
コーヒーには必ずしも食品表示をつけなければならないという義務はありません。例えば、カフェなどの飲食店で、コーヒー豆を提供する場合も同じです。
実は、コーヒーに限らず、対面で食品を販売する場合において、食品表示は義務づけられていません。なぜなら、『消費者から求められた際に、販売者がその場で全ての情報を提供できるため』とされています。
ただし、不特定多数の人にネットなどを使って通信販売する場合には、食品表示の義務が発生するのです。ネットでコーヒー豆を購入した場合には、ラベルが付いているかどうか、必ずチェックしましょう。
ちなみに、ラベルには一括表示もあれば、分割表示もあり、販売者によってさまざまです。また、賞味期限だけでなく、焙煎日を明記しているものもあります。『美味しいうちに飲んでもらいたい』という販売者の想いが込められているのかもしれませんね。
ラベルひとつから見えてくるコーヒー豆のストーリーを楽しもう
コーヒー豆のラベルをチェックすることで、生産国や栽培地域、どんな環境でコーヒー豆が育まれてきたのか…などなど、いろいろな想像をふくらませることができます。
また、品種や精製方法で味の特徴がわかるなど、コーヒーを選ぶ際にも大いに役立ちますよ。今までラベルを気にしてこなかったという方も、ぜひこれを機に意識してみてはいかがでしょうか?
コーヒー豆のストーリーや販売者の想いを感じながら飲む一杯は、より深みを増した味わいになることでしょう。