冬でもアイスコーヒーや夏でもホットコーヒー、これと言った決まり事はないけどついつい頼みがちになってしまうドリンクはないだろうか?それがあなたにとって馴染みが深いコーヒーなんだと思う。かくいうワタシは6月の終わりを感じ、初夏到来という前からアイスコーヒー。気がつくとアイスコーヒーばかり飲んでしまう。夏に入り、じわじわコンクリートから跳ね返る地下熱を感じていると、店内の涼しい風を感じながら、美味しいコーヒーで一息つきたいと!額の汗を拭いながら思うのである。ここからは元コーヒー屋店員として、夏にこそ飲んでおきたいコーヒードリンクたちを紹介しよう。
■はじめに
夏といえば水出しコーヒーやアイスラテなどが一般的だが、実はさまざまなスタイルがある。というのもコーヒーの飲み方にはある種の文化的側面があり、それが各国のユニークなコーヒー事情に繋がっているわけだ。
1.カフェ・シェケラート
エスプレッソ文化が浸透しているイタリアならではのアイスコーヒー。シェケラートは熱々のエスプレッソと砂糖そして氷をカクテルシェイカーに入れてシェイク、一気に急冷したエスプレッソを楽しむドリンクだ。シェイクするためきめ細かい泡がグラスの上にあるのも特徴で、何より完成時グラスに氷を入れないところがポイント。氷が溶けてコーヒーが薄まる心配がなく、氷が溶けだしたことによる味の変化が少ない。アイスコーヒーがあまり一般的ではないイタリアならではのドリンクだ。日本ではイタリアンバールなどで楽しめるアイスコーヒーなのでバールマンがいるお店でぜひ楽しもう。
2.京都式アイスコーヒー
砂時計のような見た目で12時間ほど抽出に時間を要する京都式アイスコーヒーは、もし運良く見つけたらぜひトライしてみてほしい。ダッチコーヒーとも呼ばれるが、コーヒーの粉に水を一滴ずつ垂らして浸透させていくこの抽出方法。コーヒーがより濃密に抽出されていくため、口当たりから味のパンチといい、ほかではけっして経験できない味わいだ。ゴクゴク飲み干すというよりはゆったりと味わっていくのがベター。非日常的なコーヒー体験をしたい人にオススメである。
3.カスカラドリンク
コーヒーの副産物カスカラ。実はコーヒーはそもそも木になる果実で、普段我々が口にしているコーヒーはその果肉を除去した種子の部分なのだ。それを精製し、焙煎したものがコーヒー豆。となるとその周りの果肉をどう扱っているのか気になるが、乾燥させてお茶のようにして飲むのが一般的。カスカラティーとも呼ばれるが、それに砂糖を加えてシロップにしたものをソーダで割ったりすることで夏にぴったりのリフレッシュドリンクとなる。もちろんこれも産地などで味わいが変わる。基本的にはあんずやさくらんぼのフレーバーティーのような味わいが特徴である。コーヒーよりは低カフェインな上に抗酸化作用も強いため健康面でも注目している人も多い。
4.アフォガード
もはや定番中の定番ではあるが、アイスクリームに出来たてエスプレッソをかけたアフォガードは外せない。ビターチョコレートやキャラメルを思わせる深煎りエスプレッソをどっしりと味の懐の深いバニラアイスに注ぎかける。するとアイスクリームがコーヒーの熱と合わさってほどよくとろける。別々で楽しむのとは違った調和を生むのだ。夏のひと息にぴったりなデザートドリンクなのである。もちろん浅煎りのエスプレッソで楽しむのもこれまた違った印象なので、アフォガード巡りというのもいいかもしれない。ちなみにイタリア語で溺れたという意味もあり、文字通りアイスクリームがエスプレッソに溺れているという状態を表している。
5.シングルオリジンドリップコーヒー
浅煎りのシングルオリジンコーヒーは、ホットやアイスを問わずに爽快な味わいが楽しめる。
実はコーヒー豆にも旬という概念が存在して、そのシーズンに合わせたコーヒーを選べばキレのある酸味からフルーツや花を想像させる芳醇なフレーバー、やや厚みがありなめらかなボディー感をより一層楽しめるのだ。コーヒーは収穫されてから早くて約3ヶ月で消費者の手元に届く。夏はエチオピアやグアテマラのコーヒーが旬を迎えるのである。どちらもフレーバー感や酸味のクリアさが綺麗なものが多い産地なので、さっぱりとリフレッシュしたい夏にぴったりだ。
コーヒー以外は?
夏限定で、レモネードやノンアルコールコーヒーカクテルを出しているコーヒー店も多くそれもまた醍醐味。普段見慣れないドリンクではあるが、夏にしか飲めないドリンクもあるのでこの機会に抑えておきたいところだ。
あとがき
コーヒー店員として働いていたことで、ついこの季節は何を飲もうかナァなんて考えてしまう。とりわけ昨今のコーヒーシーンでは趣向を凝らしたコーヒードリンクがどんどん誕生し、我々の喉を潤すのである。コーヒー好きだからこそ飲んだことのないドリンクにチャレンジするのもアリ、自分の中にある定番のコーヒーをいろんなお店で試すのも楽しい。それぞれ夏のコーヒーライフを楽しんでほしい。