コーヒーの専門家が、コーヒー豆の品質を確かめるために行う「カッピング」。コーヒーを入れる腕前に関係なく、平等の条件でコーヒー豆を評価できるため、コーヒー豆を販売する際の目安にもなります。
しかし、実際にはどのような観点からどのように評価しているのかは、素人には分かりにくいですよね。
そこで今回は、コーヒーの専門家が行う、カッピングの具体的な評価や判断基準について紹介します。自宅でカッピングを試すときなどに、ぜひ参考にしてくださいね。
評価項目と評価の目安
カッピングは、複数のコーヒー豆の品質を平等な条件で判断するものです。品評会によって評価項目や加点方法が違いますが、今回は、最高峰のスペシャルティコーヒーの品評会である「カップ・オブ・エクセレンス(COE)」の基準を紹介します。
COEでは、コーヒー豆は100点満点で評価されます。8つの評価項目でそれぞれ8点満点の評価です。残りの36点が基礎点となり、減点があればこの基礎点から引かれます。
それでは8つの評価項目について、詳しくみていきましょう。
クリーンカップ(カップのきれいさ)
クリーンカップとは、飲んだ時にコーヒーの味が澄んでいるか、雑味がないかの評価です。コーヒーの持ち味を感じにくくさせている場合には、クリーンカップの評価が低くなります。ネガティブな表現方法の例を挙げると、かび臭い、土のような、といったものになります。
スイートネス(甘さ)
コーヒー豆の甘さには、収穫時の熟し具合が大きく関係しています。きちんと熟していないと、青っぽい酸味が際立ってしまい、甘みを感じにくいです。ポジティブな表現は熟した果実のような甘さ、と表現され、ネガティブな表現になると、未熟な、酸っぱい、などの評価になります。
アシディティ(酸味)
酸味は、コーヒーの味に命を与えるとも言われる、コーヒーの核となる要素です。良質なものはフルーツのような酸味を感じさせます。なお、ネガティブな表現としては、鋭い、無味乾燥、酸っぱいなどがあり、酸味の評価には酸っぱさの程度よりも質が重要です。
マウスフィール(口に含んだ質感)
マウスフィールでは質感を確かめるため、クリーンカップの高さが前提で評価されます。口に含んだときのなめらかさや、重厚感が大切です。ポジティブなものとしては、バターやベルベット、クリーミーなどと例えられ、ネガティブなものは水っぽい、軽い、荒いなどと評価されます。
フレーバー
フレーバーは味と香りを組み合わせたもので、コーヒーの印象を決める重要な項目になります。ナッツやチョコレート、フローラルと表現され、複雑な個性があり心地よいものが評価されます。逆に、ネガティブな表現としては、ジャガイモなどの野菜に例えられたり、苦味や塩味などと評価されたりします。
アフターテイスト(後味のよさ)
コーヒーを口に含んで飲み込んだり、カッピングで吐き出したりした後に感じる余韻を評価する項目です。クリーンカップと相関性があり、クリーンカップが低いとアフターテイストも低くなります。
アフターテイストは、長く、甘い余韻が残るものが良いとされ、不快な余韻が残るものがネガティブな評価になります。
バランス
クリーンカップ、スイートネス、アシディティ、マウスフィール、フレーバー、アフターテイストの6項目のバランスが良いかどうかを判断する項目です。例えば、スイートネスは良いけれど、マウスフィールが悪い、という場合には、バランスの点数は高くなりません。
各項目の平均点が高ければ、バランスの評価も高くなるケースが多いです。逆に、バランスが取れていても、各評価項目が低評価の場合にはバランスだけが良くなるということにはなりません。
オーバーオール(総合評価)
オーバーオールは、コーヒー全体の印象を評価する項目です。各項目の中で、カッピングした人の好みや主観で判断しても良い項目になっています。
このため、最高や魅力的といったものや奥行きのある複雑な、といったポジティブな表現や退屈、好きじゃない、などといったマイナスの表現も多いです。
評価の目安は?
コーヒー豆は、各項目の総合点数の高さによって評価されます。80点以上がスペシャルティグレードとされ、その中でも90点以上で賞賛されるべきコーヒー、85点以上でCOEレベルとなります。
なお、スペシャルティグレードになるためには、4項目以上において6点以上でなくてはなりません。このため、総合点が80点以上でもスペシャルティグレードに認定されないケースもあります。
カッピングフォーム
カッピングフォームとは、コーヒーの評価を記入する採点シートになります。記入項目は、点数のつく8項目以外に、サンプルナンバー、ローストカラー、アロマ、ディフェクトの4項目があります。
サンプルナンバー
各コーヒー豆につけられた番号に名称を記入し、コーヒー豆の識別に使います。
ローストカラー
ハイローストで焙煎されたコーヒー粉の色をみて、焙煎具合を確認します。
アロマ
コーヒー豆の香りを確認する項目です。
香りを確認するタイミングは、お湯を注ぐ前の粉の香りである「ドライ」、お湯を注いで1分後の香り「クラスト」、4分後にかき混ぜた後の香りである「ブレイク」の3回あります。
ディフェクト
欠陥豆が混入していないか、異臭がしないかなどを確認する項目です。「カップの数×欠陥度の強さ×4」で計算され、総合の点数から減点されます。
まとめ
今回は、カッピングの評価項目について、詳しく紹介しました。フルーツや花、野菜などに例えた表現も使われており、表現の仕方がバリエーションに富んでいます。
各項目の評価基準とともに表現の例も添えて紹介したので、ぜひ参考にしてください。
カッピングは素人でもできます。自分好みのコーヒーを見つけやすくなるので、コーヒー初心者にもおすすめです。
カッピングには特別な道具は必要ありません。カッピングフォームもWEB上でダウンロードできます。この機会に、本格的なカッピングを試してみてはいかがでしょうか。