エスプレッソは、シアトル系コーヒー店や自宅用エスプレッソマシンの普及によって日本でも知られるようになってきました。
小さいカップに入った濃いコーヒーというイメージのエスプレッソですが、さまざまな楽しみ方があります。
今回は、エスプレッソのお湯の入れ方を変えるアレンジと抽出量を変えた飲み方を紹介します。
エスプレッソって?
エスプレッソは、イタリア発祥のとても濃いコーヒーです。
ごく細挽きにした焙煎度の高い深煎り豆に強い圧力をかけたお湯で一気に抽出する方法からイタリア語で「急行」を意味するエスプレッソと名付けられたコーヒーの歴史は比較的浅く、1906年にミラノ万博で紹介されたことで世界に知られるようになったといわれています。
小さいデミタスカップに注がれた濃いエスプレッソを見ると「苦そう」と思われることも多いですが、短い時間で一気に抽出するエスプレッソは、コーヒー豆の雑味成分が溶け出さず旨味の凝縮した仕上がりになります。
そのため、味や香りが濃厚でコーヒー本来のコク深い味わいを楽しめます。
味や香りのバランスが取れてスッキリとした味わいのドリップコーヒーと違いエスプレッソは、味が濃く苦味が強くなる特徴があるため、肉厚で容量の少ない「デミタスカップ」に注ぎ、スプーン山盛り1~2杯の砂糖を入れて3~4口で飲み干すのが本場の楽しみ方です。
エスプレッソをお湯で割るアメリカーノとロングブラック
エスプレッソを提供する店では、エスプレッソそのままを提供するだけでなく、アレンジをしたエスプレッソを飲ませてくれるところもあります。
エスプレッソのアレンジ① アメリカーノ
アメリカーノは、エスプレッソを入れたカップにお湯を注いで作るコーヒーです。
お湯で割っているので、エスプレッソの特徴である苦味や濃さが弱まり、口当たりが柔らかで味わいはスッキリとしています。エスプレッソの香りと甘みは残っているので、ドリップコーヒーとは一味違う味わいを楽しみたい人におすすめの飲み方です。
アメリカーノという名前の由来は諸説ありますが、エスプレッソを薄めて飲んでいるアメリカ人を見下した意味でついたという説と第二次世界大戦中にイタリアに駐屯していたアメリカ兵が、祖国の味を求めてエスプレッソにお湯を足して飲んだことに由来する説があります。
アメリカーノと似た名前のコーヒーに「アメリカン」がありますが、これは浅く焙煎したコーヒー豆で入れた色が薄めのコーヒーを指す和製英語です。
エスプレッソのアレンジ② ロングブラック
ロングブラックは、オーストラリアやニュージーランドで飲まれているエスプレッソのアレンジコーヒーです。
ロングブラックは、アメリカーノと同様にお湯で割って作りますが、作り方が少し違います。
アメリカーノは、カップにエスプレッソを入れてからお湯を注ぎますが、ロングブラックは、お湯を入れたカップにダブルショットのエスプレッソもしくは、リストレットを注ぎます。
後からエスプレッソを注ぐことでエスプレッソ特有のクレマが消えずに強い香りと味が保たれるのが特徴です。
オーストラリアでは、エスプレッソのことをショートブラックと呼びます。そのショートブラックにお湯を入れて作るアレンジコーヒーなので、「ロングブラック」と呼ばれるようになったと考えられます。
エスプレッソの抽出量で違うルンゴとリストレット
エスプレッソには、お湯の量以外にも抽出量を調整することでアレンジするコーヒーがあります。
エスプレッソのアレンジ③ ルンゴ
ルンゴは、イタリア語で「長い」という意味があります。ルンゴとは、その名前のとおり普通の2倍くらいのお湯と時間で抽出したエスプレッソのことです。
一般的にエスプレッソは、20秒くらいでコーヒーを抽出しますが、ルンゴはその倍~1分くらいの時間をかけて抽出します。抽出された量も一般的なエスプレッソが30ml前後に対してルンゴは60ml程度の量になります。
気になるルンゴの味は、お湯の量が2倍になることからエスプレッソらしい強さは若干弱まりますが、苦味は強くなります。これは、多くのお湯が同じコーヒー粉を通過するほど苦味が強くなる傾向にあるからです。
エスプレッソのアレンジ④ リストレット
リストレットは、エスプレッソを入れるときに使用する豆の量を通常の半分のお湯で入れたコーヒーのことをいいます。
一般的にエスプレッソを入れるときは、豆9gにたいして30ml程度のお湯を使用しますが、リストレットは、豆9gに対してお湯の量が15~20mlになります。
リストレットは、抽出時間が早いため、見た目と味が濃く苦味、渋みが比較的少ない特徴があります。また、コクも強く感じるので、エスプレッソらしさをより強く感じたいときは、リストレットがおすすめです。
ドリップに飽きたらエスプレッソもおすすめ!
エスプレッソは、小さいカップに入った濃いコーヒーを3~4口で飲み干すイメージですが、実は、さまざまなアレンジによってその味わいが変わる面白い飲み物です。
日本では、あまり馴染みのない飲み方ですが、エスプレッソを出すお店には用意されていることも多いので、ぜひ、試してみてはいかがでしょうか。
いつもドリップコーヒーばかり飲んでいる人も、意外と美味しくてクセになるかもしれません。