普段、何気なく飲んでいるコーヒーですが、生産地からどれくらいの時間をかけてどのように輸送されるのか、知っている人は少ないのではないでしょうか。
収穫されたコーヒー豆は、赤道近くのコーヒーベルトと呼ばれる暑く湿度の高い気候の地域から、船便で3ヶ月から半年、空輸で2または3日かけて運ばれます。
船便と空輸で輸送にかかる時間に大きな差がありますが、輸送方法の違いでコーヒーの品質に違いはあるのでしょうか。
そこで今回は、コーヒー豆の輸送方法や梱包方法について、詳しく紹介します。
コーヒー豆の輸送手段と課題
コーヒー豆は、赤道近くの地域で作られています。暑く湿気の多い地域を通過して日本に運ばれて来るため、温度変化や湿度変化に晒されてしまいます。
コーヒー豆を輸送する方法は、ドライコンテナもしくはリーファーコンテナによる船便、空輸の3パターンです。
それぞれにメリット・デメリットがあるので、違いを詳しくみていきましょう。
ドライコンテナ
ドライコンテナは、空調のないコンテナです。3つの輸送方法の中で最も一般的な輸送方法で、安価にコーヒー豆を運べます。
しかしながら、空調による温度管理ができないので、コーヒー豆の品質が劣化してしまう恐れがあるのがデメリットです。
ドライコンテナによる輸送では、暑く湿気の多い地域の空気を含んで密閉されます。
このため、温度や湿度の低い日本へ運ばれるまでに、コンテナ内が結露してしまう場合もあり、コーヒー豆にとって良い環境とは言えません。
リーファーコンテナ
リーファーコンテナは、空調管理ができる冷蔵コンテナです。空調が一定に保たれるように管理されているので、輸送によるコーヒー豆へのダメージを少なくできます。
リーファーコンテナの費用は高くなりますが、空輸に比べて安価に輸送できるため、最近ではリーファーコンテナでの輸送が増えてきています。
空輸
空輸は圧倒的に輸送時間が短く、鮮度の良い状態でコーヒー豆が届きます。
しかしながら、船便に比べ輸送費が高いのがデメリットです。このため、高品質のスペシャルティコーヒーを輸送する際などに使用されます。
コーヒー豆はどのように梱包されているの?
コーヒー豆の梱包は、輸送方法やコーヒー豆の種類によって違いがあります。
ここでは、コーヒー豆の梱包方法について紹介します。
麻袋・グレインプロ
ドライコンテナで運ばれる場合、通気性が良く丈夫で安価な麻袋でコーヒー豆を梱包します。保存にも便利なので、麻袋での輸送が一般的です。
しかし、麻袋に入れただけでは、高温多湿の地域から日本へ輸送するとコーヒー豆へのダメージは防ぎにくいです。
このため、スペシャルティコーヒーなどをドライコンテナで輸送する場合には、グレインプロという厚手のビニール袋を使います。
グレインプロにコーヒー豆を入れ、さらに麻袋で梱包します。
なお、リーファーコンテナで輸送する場合には、麻袋を使わず、真空パックにしてコーヒー豆の劣化や雑菌の繁殖などを最小限に抑えて輸送する場合も多いです。
コーヒー樽
ブルーマウンテンのみ、麻袋ではなく樽を使って輸送します。
樽にはアメリカ産の温帯林の木材が使われており、ニオイがありません。木製なので通気性もよく、温度変化を和らげてくれるため、コーヒー豆の保管や輸送に適しています。
ブルーマウンテンの樽での輸送は18世紀、イギリスから送られてきた小麦粉が入っていた空き樽を、再利用したことが始まりと言われています。
麻袋に比べ、樽での輸送はコストや手間がかかりますが、最高級のコーヒー豆の品質を保つのに最適な輸送方法です。
また、最近では、わざとウイスキーが入っていた樽にコーヒー豆を入れて、ウイスキーの風味をコーヒー豆に染み込ませるという方法が使われ始めています。
芳醇なウイスキーの風味をコーヒー豆が吸い込んで、上質なウイスキーのような味わいになる、全く新しいコーヒーとして注目され始めています。
いつものコーヒーも長旅を終えて目の前にあるのだと知る
今回は、コーヒー豆の輸送や梱包方法について紹介しました。
コーヒー豆の輸送方法は、ドライコンテナ、リーファーコンテナ、空輸の3種類があります。
この中で、空輸での輸送は、品質は保たれますが費用が高くつくため、一般的ではありません。
コーヒー豆の輸送で最も一般的なのは、空調のないドライコンテナによる船便です。
船便の場合、3ヶ月から半年ほど輸送に時間がかかってしまうので、ドライコンテナでの輸送は品質が劣化する可能性があります。
このため、最近では空調のあるリーファーコンテナでの輸送も増えてきています。
また、コーヒー豆の梱包方法についても紹介しました。麻袋に詰める場合がほとんどですが、ブルーマウンテンの場合には樽にコーヒー豆を詰めて輸送します。
コーヒーを飲む際には、ぜひどれくらいの時間をかけてどのように輸送されてきたのかに思いを馳せてみてください。きっと、コーヒーをより味わい深いものにさせてくれるでしょう。