コーヒーにはさまざまな健康作用があるとされています。なかでも、今注目されているのがコーヒーの抗炎症作用です。毎日のコーヒーがケガの治りも早くする、というのは本当なのでしょうか。
本記事では、J,C.Q.A.コーヒーインストラクター1級の著者が、コーヒーとケガの治りの関係についてわかりやすく紹介していきます。ぜひ最後まで読んで、コーヒーのさらなる健康効果を知ってみましょう。
コーヒーがケガの治りを早くする?
コーヒーには薬として飲まれていた歴史があります。アフリカで発見されたと言われているコーヒーは、古くから多くの健康効果を持つと信じられてきました。
現代でもコーヒーの健康効果についてさまざまな研究がされています。近年ではコーヒーがケガの治りにも関係していることが徐々に明らかになってきました。
ケガの治りとコーヒーの関係を知るには下記の2つの炎症について知っておきましょう。
- 急性炎症
- 慢性炎症
急性炎症とは、ケガや感染などの直接的な原因に対する身体の反応です。例えば、指を切ったりひざをすりむいたりしたときに見られる赤みや腫れです。
一方、慢性炎症とは長期間にわたって体内で静かに進行する炎症を指します。慢性炎症は糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病の原因になるとも言われています。
そして、最近の研究では、コーヒーが慢性炎症の抑制に効果があると明らかにされています。さらに、コーヒーポリフェノールが活性酸素に作用し炎症を抑制する効果があることもわかってきました。
コーヒーの抗炎症作用:炎症を抑制するピロカテコール
コーヒーが持つ慢性炎症の抑制に役立つ成分は、ピロカテコールです。
慶應義塾大学の多胡教授の研究によると、コーヒー豆が焙煎された時に発生するピロカテコールという成分が抗炎症作用を持っているとのこと。
さらにピロカテコールの抗炎症作用は、コーヒー豆の焙煎時間が長いほど強いと確認できました。つまり、焙煎度の深い、苦みの強いコーヒーのほうがより抗炎症作用を期待できるのです。
慢性炎症で困っている方や「これから健康維持に気をつけていきたい!」という方は、深煎りのコーヒーを飲む生活を送ってみてはいかがでしょうか。
コーヒーの抗酸化作用:活性酸素と戦うクロロゲン酸
コーヒーには、クロロゲン酸を代表とするポリフェノールが豊富です。ポリフェノールにはケガや病気から発生する活性酸素と戦う、抗酸化作用があります。
活性酸素は、細胞を傷つけたり脂質を酸化して過酸化脂質を作ったりと、身体にさまざまなダメージを与える原因となります。この活性酸素はケガや病気の炎症からも発生すると言われています。
そのため、活性酸素と戦うポリフェノールをコーヒーから日常的に摂取すれば、炎症から始まる身体の不調を改善する効果を期待できるでしょう。
また、東洋大学の近藤教授の研究によると、コーヒーに含まれるポリフェノール量は緑茶やココアよりも多いとのこと。なので、ポリフェノールの抗酸化作用を取り入れたい方は、ぜひコーヒーで摂取しましょう。
効果的なコーヒー摂取の3つのポイント
コーヒーと炎症の関係がわかったところで、効果的なコーヒーの摂取方法について紹介します。実は、先述したピロカテコールとクロロゲン酸は、摂取するのにそれぞれ適した焙煎度があるため、同時に摂取するのは難しいのです。そのため、以下の3つのポイントを踏まえて、毎日のコーヒー生活に取り入れてみましょう。
- ピロカテコールを摂取するなら深煎りコーヒー
- クロロゲン酸を摂取するなら浅煎りコーヒー
- 1日のコーヒー摂取量は2〜3杯にとどめる
■ピロカテコールを摂取するなら深煎りコーヒー
コーヒーに抗炎症作用を期待するのであれば、深煎りのコーヒーを飲みましょう。
先述のとおり、抗炎症作用が期待できるピロカテコールは、コーヒー豆の焙煎時間が長いほどその作用が強いという結果が出ています。「深煎りの苦いコーヒーは苦手」という方は、ミルクやオールミルクでラテにするのもおすすめです。
コーヒーの味わいを変えるおすすめのトッピングは、下記の記事でも紹介しています。トッピングによる健康効果についても解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
コーヒーのトッピングで手軽に健康を!おすすめのトッピング4選を紹介
■クロロゲン酸を摂取するなら浅煎りコーヒー
コーヒーの抗酸化作用を積極的に取り入れたい場合は、浅煎りのコーヒーを飲みましょう。
クロロゲン酸は、焙煎が進むにつれ量が減少します(出典:コーヒー中のクロロゲン酸量に及ぼす焙煎時間及び抽出条件の影響)。
そのため、クロロゲン酸を摂取するのであれば焙煎度は可能な限り浅い方が良いです。しかし、おいしく飲めなければなかなか続けられませんよね。浅煎りのコーヒーの酸味が苦手な方は中煎りのコーヒーからチャレンジしていきましょう。
また、ブラジル産やエチオピア産などの酸味が穏やかなコーヒーを選ぶのもおすすめ。
筆者のおすすめは、The Rising Sun Coffeeのエチオピア モカ・シダモG1 グジです。
軽やかで飲みやすく、フルーティな香りが心地良いため、初めての浅煎りコーヒーにもおすすめですよ。
■コーヒーを飲む量は1日2〜3杯にとどめる
抗炎症作用や抗酸化作用のためとはいえ、1日に大量のコーヒーを飲むのはおすすめしません。
カフェインの過剰摂取によるめまいや頭痛だけでなく、利尿作用による便秘を引き起こす可能性もあります。
米国食品医薬局(FDA)は、健康な大人のカフェイン摂取量の目安を1日あたり400mgとしています。カップの大きさにもよりますが、おおよそブラックコーヒー2〜3杯の量です。
「浅煎りも深煎りもどっちのコーヒーも飲みたいのに、2〜3杯じゃ足りないよ!」という方には、浅煎りコーヒーと深煎りコーヒーのブレンドをおすすめします。
浅煎りのコーヒー豆と深煎りのコーヒー豆をそれぞれ用意し、ブレンドしましょう。始めのうちは「深煎り3:浅煎り1」の割合で味をみて、少しづつ自分好みの味わいにしていきましょう。
いろいろなコーヒー豆を選んでみて、自分なりのブレンドを作るのも楽しいですよ。
【まとめ】コーヒーで健康な毎日を過ごそう!
本記事では、コーヒーがもつ抗炎症作用や抗酸化作用について解説しました。
コーヒーにはまだまだ解明されていない健康効果が秘められています。
これからどんどん新しい健康効果が解明されていくと思うと、わくわくしますよね。
しかし、コーヒーはあくまで嗜好品です。健康効果にとらわれ過ぎずに、おいしく、リラックスしてコーヒーを楽しんでみてくださいね。