アメリカのコーヒー文化とイタリアのコーヒー文化はどう違う?

アメリカのコーヒー文化とイタリアのコーヒー文化はどう違う?

世界中のコーヒー好きが注目する「サードウェーブコーヒー」。

コーヒーの最新トレンドです。「サードウェーブコーヒー」の代表格は、米ブルーボトルコーヒーといわれます。日本には、2015年に初出店しました。

スターバックスを代表とするシアトル系コーヒーチェーン店をはじめ、日本のコーヒー文化はアメリカのコーヒー文化によって形成されています。

一方、エスプレッソの本場イタリアのコーヒー文化は、日本においてあまり馴染みありません。今回は、アメリカのコーヒー文化とイタリアのコーヒー文化について紹介していきます。

アメリカのコーヒー文化とイタリアのコーヒー文化

アメリカにおける3つのコーヒームーブ

アメリカにおけるコーヒームーブは、「ファーストウェーブ(第一の波)」「セカンドウェーブ(第二の波)」「サードウェーブ(第三の波)」が存在します。

【ファーストウェーブ】19世紀後半から1960年代
■浅煎りコーヒー/大量生産・大量消費
・キッカケは「ボストン茶会事件(1773年)」
・紅茶に似せた軽い味わい
・日本独自の薄いコーヒー「アメリカン」の由来

【セカンドウェーブ】1960年代から2000年頃
■深煎りのエスプレッソ系アレンジコーヒー
・シアトル系コーヒーチェーンのエスプレッソ系コーヒー
・コーヒーの味を重視
・コーヒー豆はブレンド (豆の個性・多様性は薄い)
・ミルクや砂糖で自分好みにカスタマイズ

【サードウェーブ】2000年以降
■浅煎りのシングルオリジンコーヒー/スペシャルティコーヒー
・代表格はブルーボトルコーヒー
・コーヒー本来の価値を重視
・コーヒー豆はシングルオリジン(豆の個性・多様性は濃い)

アメリカのコーヒー文化は、「ボストン茶会事件(1773年:イギリスによる紅茶の貿易独占に反発したアメリカ人が、ボストンに停泊中の東インド会社(イギリス)の貿易船を襲い、積載されていた紅茶を海中に投げ捨てた事件)」を契機に始まります。

それまで、アメリカでは紅茶文化でしたが、「ボストン茶会事件」を機にアメリカ国内で紅茶の不買運動が勃発。一般家庭、職場などにて紅茶に代わってコーヒーが飲まれるようになりました。

「ファーストウェーブ」は大量生産・大量消費のコーヒー文化であり、「浅煎り」が主流でした。紅茶に似せた、すっきりとした軽い味わいのコーヒー(薄いコーヒー)が好まれました。大量生産・流通・消費が重視され、コーヒーの味にはこだわりませんでした。

その後、コーヒーの味を楽しむ「セカンドウェーブ」が生まれました。「スターバックス」などシアトル系コーヒーチェーンによるムーブメントです。

深煎り豆をエスプレッソ抽出し、ミルク、生クリームやホイップクリーム、砂糖を加えて自分好みにカスタマイズして味を楽しみます。複数のコーヒー豆をブレンドすることで味のバラツキを抑え、一定の味を維持します。

また、マニュアルに従ってコーヒーマシンでコーヒーを作ることにより、常に同じ味を提供できます。つまり、日本に居ても、海外と同じコーヒーの味を楽しめるのです。

なお、「アメリカンコーヒー」は「浅煎り豆を多めのお湯で淹れたコーヒー」「浅煎りで焙煎した豆を抽出したコーヒーをお湯で薄めたもの」を指し、日本独自のコーヒー。エスプレッソをお湯で薄めた「アメリカーノ・コーヒー」とは別物です。

最新トレンドの「サードウェーブコーヒー」では、「高品質」「徹底した品質管理(トレーサビリティ)」「安定した生産体制(サステナビリティ)」の観点からコーヒー豆の本来の価値が重視されます。

コーヒー豆の個性に応じて焙煎度合いを変え、一杯ずつ丁寧に淹れ、品種・産地・栽培の違いによる風味の変化を楽しみます。

アメリカにおける3つのコーヒームーブ

イタリアのコーヒー文化はエスプレッソ

エスプレッソの本場イタリア。イタリアのコーヒー文化は基本エスプレッソであり、日本人が飲むコーヒーはメジャーではありません。

エスプレッソは、デミタスカップで提供されます。1杯あたり粉量(深煎り・極細挽き)8g程度に沸騰水を加圧状態で濾し、短時間(20~30秒間)で約25㏄抽出します。濃くて苦いイメージがありますが、風味のバランスは良く、強い焙煎と短い抽出時間によってカフェイン含有量は少なくなります。

エスプレッソは、ミルク・砂糖なしで飲むのが基本ですが、ミルクやクリームを入れて(カフェラテ、カプチーノ、マキアートにアレンジすることもできます。ラテアートを施すコーヒーもエスプレッソです。

また、「イタリア式(エスプレッソ+砂糖)」「シアトル式(エスプレッソ系アレンジコーヒー)」と大きく2種類の飲み方があります。

「イタリア式」は、1日何杯もエスプレッソを飲むイタリア人の飲み方であり、エスプレッソに砂糖を入れて飲み、カップ底にたまった砂糖をスプーンで食べると言われています。

コーヒーの風味が残った甘いお砂糖をスイーツのように楽しむのです。日本では見かけないコーヒーの楽しみ方なのではないでしょうか。

「シアトル式」は、シアトル系コーヒーチェーン店での淹れ方であり、ミルク、クリームのアレンジと合うように深煎り豆でより濃いエスプレッソを抽出します。

一口にコーヒーと言っても、国や文化によって楽しみ方は様々です。その時の気分、飲むタイミングに合わせて、コーヒーを楽しめたら素敵ですね!

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コーヒーステーション編集者
自分ではなかなか難しいコーヒー選びをサポートすること。コーヒー器具の開発、販売を手がける株式会社ハリオ商事自ら、コーヒーの淹れ方やコーヒー豆の選び方などを発信しています。

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