埼玉県 本庄市を拠点に活動するフォトグラファーの櫻子さん。多重露光を活用した美しく儚い雰囲気の作品が人気を集めているほか、埼玉県広報アンバサダーとして、地元である埼玉県の魅力を精力的に発信するなど、幅広く活躍中です。思わず見惚れてしまうほどの作品を生み出し続ける櫻子さんにとって欠かせないものであると語る珈琲時間に迫ります。
<Profile> 櫻子 instagram
1996年生まれ。埼玉県本庄市出身。早稲田大学文化構想学部卒業後、会社員を経てフリーランスフォトグラファーに転身。透明感のある作風で写真を撮影することが得意で、多重露光作品などの作品制作を行う傍ら地元である埼玉北部周辺 及び 旅した地域の魅力を発信する活動を行っている。2025年度埼玉県広報アンバサダー。
写真に「ガチ」な人たちとの出会いが、今につながった
―― 学生時代から趣味としてカメラに触れる機会が多かったという櫻子さんですが、写真を本格的に始めたきっかけを教えてください。
櫻子さん(以下、櫻子。敬称略):もともとは写真の仕事をしていたおじに教えてもらいながら写真を始めました。大学時代はメディアアートの勉強をしていて、映像を作ってみたり、所属していたミュージカルのサークルで、自己表現に優れた友人たちが多かったので彼らの写真を撮ったり、メイクをして衣装を用意して撮影会をやってみたりとか、作品を作る環境にいたんですが本当に趣味の範囲でした。当時は写真を仕事に…などは考えていなかったと思います。
作品を作るうちに、一番好きだった写真がもっとうまくなりたいという気持ちがあったので、インプットを目的に当時流行っていたフィーチャーアカウントとして、TODAY’s BLUE COLLECTIONというアカウントを作成しました。いろんな作家さんの「青」を基調とした素敵な作品を取り上げているうちに、写真が好きな人とつながりができました。大学を卒業して就職をしてからも、そこで生まれたつながりの中で週末に撮影会をやっていました。
写真好きな仲間たちの熱量がものすごくて!写真を通して繋がった仲間たちと離島へ行って撮影会をする機会があったんですが、写真に対する想いや、ものづくりへの情熱、緻密さを間近に感じて、すごく刺激を受けたんです。あれは今の活動につながるきっかけとしてすごく大きかったですね。そういう環境の中で「写真がもっとうまくなりたい!」という想いが強くなっていって、SNSで毎日投稿を行うなど、作品の発信に力を入れ始めました。まだ初心者だった頃の写真なので、今見るとピントが曖昧だったりするのですが…(笑)



ーー今では、6万人を超えるフォロワーを持つまでになりました。
櫻子:当初はあまりフォロワーについては意識しないようにしていました。ただ、日本だけでなく海外の方にも見ていただけるようになった時は嬉しかったですね。
振り返ると、その頃からInstagramの魅せ方を意識していたと思います。写真の1枚目を、パッと見てインパクトがあるものをチョイスしたり、ギャラリーを美しく見せるよう平行線を意識してみたり。作品を発表するツールの一つとしてしっかりと作りこむようにしていました。
心動かされた瞬間を素直に表現する
ーー作品を撮るうえでご自身に影響を与えているクリエイターはいますか?
櫻子:本当に大好きで目標にしている写真家さんが二人いらして。一人は、市橋織江さん。優しく淡い色彩で写真を撮られているんですけど、よく見るとその中にストーリー性があって。ほんの些細な人の表情や動物の表情とかからその場の空気感が伝わってくる、魔法みたいな作品たちです。もう一人は川内倫子さんです。生命の一瞬の輝きというか、死生観のようなものの表現が本当に巧みで!広大な大地の写真もあれば、ミニマムな視点で撮ったものもあって、被写体は違うんですけど、同じ生命のつながりを感じさせるような表現が本当に素晴らしくて、大好きな写真家さんです。
ーー写真作品に対する言語化がすごい…!展示会とかに行くと、写真をどう受け止めたらいいのかとか、写真作品の読み取り方とか、難しさを感じてしまいがちです。
櫻子:個人的には、考えながら写真を見るというよりは、そのときの直感を大切にしています。「見る」というよりは、「浴びる」感覚に近いです。海外に行って、見知らぬ人の作品集を買うことが多いんですが、そういうときも結構直感で選ぶことが多いですね。
写真撮影をするうえでも、「素直に撮る」ことを一番大切にしています。偽りの気持ちがあるといい写真が撮れなくて。一時期、いい写真を撮ることを意識しつつも、全然納得のいく写真が撮れなくなっちゃったことがあるんです。その時に尊敬している写真家さんに「どうやったらいい写真を撮れますか?」と相談したら一言、「素直になりましょう」とだけ(笑)。でも、まっさらな気持ちで撮ると不思議といいものができたんです。もちろんコンセプトや世界観を作りこむ作品もあるのですが、旅先で写真を撮るときは、綺麗な景色を見たときの感動をそのまま作品に落とすことが多いですね。

コーヒーの香りが、最高のリラックスに。
――そんな櫻子さんの珈琲時間についてお伺いしたいと思います。すごくコーヒーがお好きなのだとか。
櫻子:コロナ禍をきっかけに地元本庄市にUターンしてきたのですが、おいしいコーヒーを淹れてくださるバリスタの方が地元にいらして、コーヒーに目覚めました。今では仕事をするうえで欠かせません!朝起きたらまずコーヒーを飲む時間を作るようにしていますし、レタッチ等の作業中も、必ずと言っていいほどコーヒーが傍にありますね。
浅煎りのものが大好きで、ほっと一息つきたいときに音楽やラジオを聴きながら、とか、好きなドラマを観ながら、とか、「ながら」で飲むことが多いです。
そうそう、最近、旅先でおいしいコーヒー屋さんを見つけて飲むのにハマっています!全国各地の様々なコーヒー屋さんを訪れてきましたが、おいしいコーヒー屋さんには、おいしいおやつが置いてあることが多いな、と気が付きました。お店の空間や素晴らしい風景を見ながら飲むコーヒーは本当にぜいたくな時間だな、と思います。旅情が一層かき立てられる感じがします!
香りが特に大好きです。仕事や旅先での疲れを癒したいとき、コーヒーの香りが最高のリラックス効果をもたらしてくれるんです!
――それが作品づくりにもポジティブに働いている?
櫻子:そう思います。あの、ここ(櫻子さんのギャラリーのある建物)は屋上もあるんです。天気がよくて気持ちがいいので、屋上でコーヒー飲みませんか?
――屋上に移動してきました。気持ちがいいですね!
櫻子:ここからは本庄の商店街が見下ろせて気持ちが良いので気に入っています。私のギャラリーが入っている複合施設は地域を盛り上げるために様々な活動をしている方も多くいらして、そういう方々との交流もすごく刺激になっています。
――最後に、今後この場所を拠点にどんな展望を思い描いていますか?
櫻子:私も写真を通して地域を盛り上げる活動にもっと力を入れていきたいです。あとは個展もやりたい!ここ数年はなかなかできていないので、SNS以外の発信にも積極的にチャレンジしていきたいですね。
それと、大きな夢があって…本を出版してみたいんです。旅先で撮った写真や、多重露光の作品集などを一冊の本にしたい想いがあります。台湾に行った時の写真を簡単に作品集にまとめてみたのですが、もっと紙などもこだわって本格的なものを作ってみたいです。最近、ZINE界隈もすごく盛り上がっていますよね。本庄でZINEフェスのようなイベントを企画したら面白いかも!企画しようかな。
――すごい!コーヒーを飲んでいたらどんどんアイデアが湧いてくる!(笑)
インタビュー・執筆:三枝雄真
キービジュアルデザイン:川西令紗
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