普段何気なく飲んでいるコーヒーですが、どのような土地で栽培されているのでしょうか。今回のコラムでは、知っておいて損のないコーヒー雑学として、コーヒー豆を栽培するためのポイントを解説します。
コーヒー豆が育つポイントを知ると、いつも飲むおなじみのコーヒーもまた違った味わいに気が付くかもしれませんよ。
美味しいコーヒーを栽培する第一条件は気候!?
コーヒー豆の栽培は、北緯と南緯が25度の熱帯に位置するエリアが最適だとされています。
そのため、この範囲をコーヒーベルトと呼び、コーヒーの産地として有名なブラジルやコロンビア、コーヒー発祥の地であるエチオピア、マンデリンコーヒーのインドネシア、2018年のコーヒー生産量第2位のベトナム、緯度的に北限のハワイなどがこのエリアでコーヒー栽培を行っています。
また、日本でも沖縄、徳之島などがコーヒーベルトのエリア内となっており、実際にコーヒー栽培をしている場所もあります。
緯度的にみると熱帯地域であれば、どこでも栽培できるのではないかと考えられてしまいますが、それ以外にも大切な条件が4つあります。
では、どのような条件がそろえば、美味しいコーヒーを栽培することができるのでしょうか。
ちょっと豆知識!美味しいコーヒーを栽培する条件とは?
美味しいコーヒーを栽培するための条件は4つあります。コーヒーブレイクの時にちょっと披露してみたくなる豆知識です。
美味しいコーヒー豆を栽培する条件1.気温
コーヒーチェリーは、成熟する時間が長くなるほど美味しくなります。そのため、一年の平均気温が20℃前後の場所が良いと言われていますが、一日中20℃前後をキープしていれば良いという訳ではありません。
昼夜の温度差が大きいほどコーヒーチェリーの中の種子が固く締まり味が凝縮するので、熱帯地帯でなおかつ標高の高いエリアが美味しいコーヒー豆を栽培するための条件になります。
しかし、必ずしも標高が高い山で栽培されたコーヒーだけが美味しいとは限りません。
例えば、ジャマイカの有名なコーヒー「ブルーマウンテン」はそれほど高い山で栽培されていませんが、標高の高さ以外の条件がマッチすれば美味しいコーヒー豆を栽培することができます。
美味しいコーヒー豆を栽培する条件2.日差し
次に美味しいコーヒー豆を栽培するための条件としてあげられるのが「日差し」です。
コーヒーの木は、光合成によって吸収できる栄養分が変わってくるため日光に当てることが大切になります。しかし、日光に当たりすぎると葉が日焼けして落ちてしまい、豆に十分な栄養が届かなくなり大きさが不ぞろいになるなどの影響が出てきます。
コーヒー豆は、大きさが揃っている方が風味も安定し雑味がなくなるため、多くのコーヒー栽培地で行っているのが、適度に日陰を作るシェイドツリーです。
シェイドツリーとは日陰用の樹木のことで、マメ科の高木やバナナ、マンゴーなどが使用されます。
それらはコーヒーの木の側に植えられて直射日光から守る役割を担っています。適度な日光をコーヒーの木に当てることで美味しいコーヒー豆を栽培しているのです。
美味しいコーヒー豆を栽培する条件3.雨量
美味しいコーヒー豆を栽培するためには、「雨量」も大切です。
年間1,200~3,000mlほどの雨量が必要とされていますが、常に降り続いている状態では美味しいコーヒー豆はできません。
コーヒー豆を栽培するためには、成長期に適度な雨が降る雨季、収穫期には乾季であることが条件となります。
また、昼夜の寒暖差によって生じる霧も日の光をやわらげるなどの役割を持っています。
美味しいコーヒー豆を栽培する条件4.土壌
美味しいコーヒー豆を栽培するために必要な条件の最後は「土壌」です。
コーヒーの木は、火山灰質の土壌の方が良く育つと言われています。火山灰質の土壌は水はけが良く、コーヒー豆の成長に必要な窒素やリン酸、カリウムなどの有機物を多く含んでいます。
また、火山灰質の土壌は、柔らかいので根が伸びやすく栄養素を効率的に摂取できることもコーヒーの木が良く育つ理由と言われています。
このような理由から、有名なコーヒー農園の多くは、標高の高い火山帯にありますが、火山灰質の土壌であれば、どこでも良いという訳ではありません。
火山灰質にも栄養分のない「石灰質土壌」と栄養分が含まれ保水力のある「火山性土壌」があり、コーヒー豆の栽培には、火山性土壌の土地が必要です。
作物を育てるためには良い土壌が必要なのは当然ですが、コーヒーの木も例外ではないのですね。
コーヒーができるまでに思いを巡らせ味わういつもの一杯は
コーヒー豆の栽培には、「適度な日差し」と「平均気温20℃前後」「はっきりとした乾季と雨季があり雨量が1,200~3,000ml」「栄養素が多く含まれている火山灰質の土壌」という条件を兼ねそろえたコーヒーベルト地帯が最適だということがわかります。
しかし、美味しいコーヒーはこれらの条件がそろえば良いということではなく、丁寧に栽培、収穫をする必要があるのです。
コーヒー豆は繊細で、どれが欠けても味に変化が出てしまいます。
普段飲んでいる美味しいコーヒーは、自然環境が一致することと生産者の絶え間ない努力のおかげなのですね。
次のコーヒータイムには、遠い国の生産地を感じながら味わってみてはいかがでしょう。
いつものコーヒータイムも、コーヒーのことを知るとあまり知らなかった国にまで興味が湧き、知的好奇心を刺激するひとときとなるでしょう。