あなたはコーヒーの生産地と言えばどこを思い浮かべますか?「ブラジル、ベトナム、ハワイ…」さまざまな国でコーヒーが生産されていますよね。それぞれコーヒーの特徴に違いがあるのですが、最近はさっぱりとした味わいの「アフリカ産」のコーヒーに注目が集まっています。
そのアフリカ産のコーヒーを栽培している国のひとつ、「ブルンジ」をご存知でしょうか?小さい国でありながら、高品質なコーヒーを作る国として人気が高まり、日本でもブルンジコーヒーの取扱いが増えているのです。
今回は、そんな「ブルンジコーヒー」について、生産地や栽培方法、味の特徴などをご紹介します!
ブルンジってどんな国?
アフリカ大陸の真ん中に位置する内陸国
正式名は「ブルンジ共和国」。場所はアフリカ大陸の真ん中に位置しており、ルワンダ、コンゴ、タンザニアと隣接しています。
面積は約3万㎢で北海道の3分の1ほどの大きさしかなく、人口も1000万人以下の小さな国。経済面の首都はブジュンブラ、政治面の首都はギテガと分かれているのが特徴。また、言語はキルンジ語とフランス語、宗教はカトリックが半数以上を占めています。
ブルンジの歴史をざっくりお伝えすると、16世紀にブルンジ王国として設立したのですが、その後ヨーロッパに攻められ、ドイツ領東のアフリカの一部に。その後第一次世界大戦でベルギーの植民地になりましたが、1962年に独立。
独立後は民族闘争で内戦がたびたび起こり、今でも決して治安が良いとは言えない国なのです。
ブルンジとコーヒーの関係
そんなブルンジは、アフリカの中でも経済開発が遅れている国のひとつなのですが、主要産業は農業で、中でもコーヒー豆の生産が突出しており、輸出額が全体の8割を占めています。
コーヒー栽培のもともとのきっかけは、1930年代のベルギーの植民地時代にベルギー人がアラビカコーヒーの苗を持ち込み、栽培をしたことが始まりでした。では、なぜベルギー人はコーヒーの栽培を始めたのでしょうか?
ブルンジはコーヒー栽培に最適な環境
ブルンジコーヒーの生産地について
そうです。ブルンジは熱帯性気候ですが標高が高い山々が多く、朝晩の気温差が大きいという、コーヒーを作るうえで欠かせない条件が当てはまっています。
また、水はけの良い火山性の肥沃な土壌や、日照時間、適度な降水量も加わり、ブルンジはこれら全ての条件が整っているのです。そのような理由もあり、ブルンジは国全体でコーヒーの生産を行っています。
中でもスペシャルティコーヒーで有名なのが、中~北部の「カルジ」や「カンザ」、「ンゴジ」という地域。
また、2012年から、最高品質のコーヒーを選び、称号を与えるイベント『COE(カップ・オブ・エクセレンス国際品評会)』を開催しており、世界中からも注目を集めています。
コーヒー豆の栽培について
人口1000万人以下のブルンジでは約60万人がコーヒー栽培に関わっています。そのほとんどが家族経営で、小規模農園。しかも、農民は貧困なため、農薬や殺虫剤が買えないという状況も少なくないのです。
しかし、ほぼ手作業で有機栽培しているため『高品質のオーガニックコーヒー』が栽培されているというのも事実。
また、各農園にコーヒーチェリーを精製する施設がないため、近くのウォッシングステーション(水製式精製所)に持ち込んで処理するなど、手間暇かけて栽培されてます。
ブルンジコーヒーの豆の特徴や味わいについて
ここでは、ブルンジコーヒーの豆の品種や味の特徴、格付けについてそれぞれお伝えしていきます!
品種について
ブルンジのコーヒー豆の品種は、主に「ブルボン種」が中心ですが、他にも、「ミビリジ」「ジャクソン」といった品種も栽培されています。
ここで、コーヒーの豆知識をひとつ。コーヒー豆には大きく分けて「アラビカ種」と「ロブスタ種」「リベリカ」の3種類があり、そのうちの「アラビカ種」の部類に入るのが、「ブルボン種」「ミビリジ」「ジャクソン」となります。
ちなみに「ブルボン種」は病気にも強く、他の品種に比べて収穫量も多いため、日本で最も飲まれている品種のひとつと言えるでしょう。
ブルンジコーヒーの特徴と風味
ブルンジコーヒーの風味は、さっぱりとした酸味とほんのりとした甘さが特徴。甘みがあるのは、激しい寒暖差の中でじっくりと時間をかけて育てられた、身の引き締まったブルンジのコーヒー豆だからこそ、出せる味わいなのでしょう。
また、苦味もほどよく抑えられているため、飲みやすくバランスの取れた親しみやすい味も魅力。それでいて、コクもしっかりと感じられるため、牛乳との相性も良く、カフェラテやカプチーノにして飲むのも美味しいですよ。
コーヒー豆の格付けについて
コーヒーの格付けは、豆の大きさ、規格(品質)、生産地域による3つの分類から、グレードが決まります。豆のサイズは大きいほどよいとされており、「スクリーンサイズ17~15」等級から高い順に「AA,A,B」と表記されます。
また、品質を見るうえで精製方法も関係しており、完全に水洗加工された「フリーウォッシュド(FW)」、あるいは半水洗式で加工した「セミウォッシュド(SW)」の分類に分かれます。
ウォッシュドは大量の水が必要なため、水資源が豊富な土地でないと難しいというデメリットがありますが、生豆の精製度が高く、粒も揃っているというメリットも。
さらに、生産地域によって格付けに違いが出てくるという特徴も。中でも「ンゴマ」「カヤンザ」「ムインガ」といった地域は、評価の高いスペシャルティコーヒーの生産地なので、ぜひコーヒーを選ぶ際の参考にしてみてくださいね。
ブルンジコーヒーの奥深い味わいを楽しんでみよう
今回はブルンジコーヒーの生産地や栽培方法、味の特徴などについてお伝えしました。
貧しい国ゆえに生まれた、高品質なオーガニックコーヒー。その価値は高いはずですが、生豆を輸出しても農家の利益には中々繫がらないようです。
農家に限らずブルンジでは貧困に苦しむ人々が多くいます。もしブルンジコーヒーが気に入ったなら、そのコーヒー豆を栽培している国に思いを馳せ、実際にチャリティー活動などの行動に移してみても良いでしょう。
ぜひ一度、ご自身でブルンジコーヒーをいれて、奥深い味わいを堪能してみて下さいね。
私たちが至福の時間を過ごすためのコーヒー。このコーヒーはどこから来て、誰が栽培しているのか、ということも少しだけ興味をもって調べてみてはいかがでしょうか?
きっと知的好奇心を満たす、素敵な時間になりますよ。