日本人は濃いコーヒーが好きだ。
ハンドドリップやネルドリップ、そしてサイフォンと独自のコーヒー文化を発展させてきた我々は、夏はアイス、冬はホットと季節を問わずシビれるような濃さのコーヒーを求めている。ただ、どうしても家で作ろうとすると理想の味から遠ざかってしまうのが、尽きない悩み。なんというか、濃くしようとして雑味が出てしまうあの感じ、なんとかならないものだろうか?「アァ、あの喫茶店のようなコーヒーが家で飲めたらナァ…」そう呟いた私は、この場をお借りして「濃いコーヒー」の作り方を見直してみることにした。
1. 適切なコーヒー豆を選ぼう
はじめに、使用する材料から見直していこう。
今回のテーマは、濃いコーヒーづくり。重くドシっとした飲み口で、ビタースウィートな余韻が残ることが理想的だ。とはいえ、コーヒー豆の焙煎度合いってたくさんあるのよね。
- 深煎り
- 中深煎り
- 中煎り
- 浅煎り
事細かに話し始めたらキリがないので、今回は4つに割愛させてもらおう。大抵のコーヒー屋さんで伝わる焙煎度合いだと思う。
まず、「中煎りと浅煎りのコーヒーは、濃く抽出すると酸味が強くなっちゃうんだよナァ」ということで今回はお役御免。軽快な飲み口のコーヒーを飲みたい時にまた会おう。2種のコーヒーに別れを告げて、いよいよここからが迷いどころだ。中深煎りと深煎りどちらを選ぼうか?
文字通りシビれるような濃さを求めているのであれば、深煎りがオススメである。見た目も黒ぐろとしていて、豆の匂いがスモーキーだとなお良いだろう。ただ雑味が出やすいのが難点のため抽出の難易度はちょびっと高め。
中深煎りは味のバランスがいい。割と雑味も出にくいので抽出がラクではあるが、力強い濃さを求めすぎると酸味と苦味がシャープに突き刺さるので要注意だ。
というわけで、深煎りと中深煎り、味の好みと相談して決めるべし。ストロングスタイルがお好きであれば深煎り、濃くてもバランス重視であれば中深煎りがいいだろう。
※ちなみに筆者は、家で淹れるなら中深煎りのグァテマラあたりが好物。
2. コーヒーの粉の挽き目を見直そう
さぁコーヒー豆を手に入れたところで、今度は粉の挽き目。これがとにかく頭を悩ませる。
濃いコーヒーの代表格、エスプレッソであればとてつもない細かさ(ほぼパウダー状)で挽く必要があるのだけれど、自宅にエスプレッソ・マシーンはない。ドリップで淹れることにしよう。
深煎り、中深煎りのコーヒー豆では、若干粗めに粉を挽くといい。(大体ザラメくらい)
というのも、細かすぎるとコーヒーが落ち切るまでに時間がかかってしまうのだ。そうするとヤッカイな雑味も一緒に出てしまうというわけである。
挽き目は少し粗めで、抽出の時間を早めてあげよう。
※雑味を本当に出したくないのであれば、ふるいを使って粉の細かさを均一にしたり、チャフ(茶色い薄皮みたいなもの)を取ってみるといい。この方法は手間がかかるけど本当に味が綺麗になりますぞ!
3. お湯の温度も要注意
濃いコーヒーづくりにおいて、お湯の温度は繊細な問題だ。特に深煎りのコーヒーは味が出やすい。そこに煮えたぎるようなお湯をかけてしまうと、深煎りコーヒーのウマいところと散らかった雑味が一気に抽出されてしまうのだ。
なので、出来るだけお湯をケトルに移すか、大体2~30秒まって落ち着いたお湯を使いたいところである。
※こだわりの一杯にしたい方は、水を選ぶのもよいですぞ。軟水がオススメ。
<番外編>アイスコーヒーの作り方
濃いアイスコーヒーで喉を潤わせたい。暑い季節なら誰しも思うはず。アイスコーヒーでは、氷がコーヒーを希釈するため、作るコーヒーの量がキモである。
いつもと同じように作って、氷を入れたらただただ水っぽくなってしまったなんてことがある。あの時の悔しさを私は忘れない…。
ドリップの場合、氷が入ることを前提にしなければならないのだ。特に濃いコーヒーを作る際にはなおさら注意が必要。
簡単な方法がある。普断の半分のお湯でコーヒーを淹れよう。そこにたっぷりの氷をいれて溶かす。これだけ。水は入れなくても大丈夫。氷に直接コーヒーを落とす必要もない。なんと言っても使う豆の量を変えずにできるのでオトクだ。
※もっとお手軽な方法は水出しコーヒー。冷蔵庫に放置しておくだけで美味しいアイスコーヒーが飲めてしまうのだ!
まとめ
ここで今までを振り返り、一度おさらいしておこう。濃いコーヒーづくり3か条
1.深めの焙煎のコーヒー豆は必要不可欠。
2.雑味を出さないために少し粗めに挽く。
3.お湯は沸騰したては使わず少し落ち着いてたら使う。
非常にシンプルだが、ここをこだわると劇的に味が変わっていきますぞ。
濃いコーヒー求道者の皆さまへ、是非参考にしてもらい、自分なりの濃いコーヒーづくりに励んでほしい。
あとがき
コーヒーを飲み始めた時、誰もがきっとコーヒーは大人の味だと思っていたはず。それが、年月を経るごとに、その味をどんどん求めてしまうのは、まったくもって不思議である。濃いコーヒーにはロマンが詰まっているよナァ。
濃いコーヒーに恋焦がれている皆さま、素敵なコーヒーライフをお過ごしください。
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