自宅で飲むコーヒーをワンランク上の味にするためには、コーヒーの「濃度」と「収率」について押さえておく必要があります。味覚で「美味しい」と感じるだけでなく、抽出を数値化した客観的なとらえ方を知ることで、よりクオリティの高いコーヒーを入れられるようになるでしょう。
今回は、コーヒーの美味しさの指標である「濃度」と「収率」について、わかりやすくお伝えします。自宅でできる濃度や収率の調整方法もご紹介しますので、コーヒーをもっと美味しく飲みたいという方はぜひ参考にしてくださいね。
美味しいコーヒーの濃度
コーヒーの濃度とは、できあがったコーヒーに対してどれだけコーヒーの成分が溶けているか、という数値のことです。
ハンドドリップで最適な濃度はTDS1.3%といわれています。TDSはTotal Dissolved Solidの略で、物質がどれだけ液体に溶け込んでいるかを示す値です。TDS1.3%の場合、水の中にコーヒーの成分が1.3%溶けているため、「コーヒーの成分が1.3%、水が98.7%のコーヒー」ということになります。
コーヒーの濃度を最適に保てば、フレーバーが開いてコーヒーの味を感じやすくなり、コーヒー本来の甘さを楽しめます。濃度が低すぎると水っぽく感じて物足りませんし、高すぎると味が強すぎて飲みづらくなってしまうため、適切な濃度を管理するのが重要です。
コーヒーの収率とは
収率とは、抽出に使用したコーヒー豆から、どれくらいのコーヒー成分を取り出せたかを示す比率のことです。例えば収率が20%なら、コーヒー豆に含まれる成分から20%をコーヒーとして抽出できたという意味になります。
理論上、コーヒー豆の最大の収率は約30%です。コーヒー豆によっても異なりますが、美味しいコーヒーは収率18~22%前後だといわれています。収率が上がると渋みや辛みを感じやすくなり、下がると酸味を感じやすくなります。
コーヒーの濃度は濃度計、収率は計算で求めることが可能です。とはいえ、家庭でコーヒーの濃度計を用意するのは難しいところです。ここからは、自宅で飲むコーヒーの濃度や収率を調整する方法を見ていきましょう。
濃度や収率の調整方法
濃度や収率を調整するには、以下の5点に着目する必要があります。
・コーヒー豆の量
・コーヒー豆の粒度
・お湯の温度
・抽出時間
・お湯の量
コーヒー豆の量
コーヒー豆の量が多いほど濃度は上がり、収率は下がります。
コーヒー豆の粒度
粒度とは、挽いたコーヒー豆の粗さのことです。粒度が細かいほど、お湯がコーヒー豆の内部まで素早く浸透し、抽出効率が上がります。粒度が細かいほど、コーヒーの濃度と収率の両方が上がります。
お湯の温度
高い温度のお湯を使うと成分が抽出されやすいため、湯温が上がれば濃度と収率の両方が上がります。
抽出時間
抽出時間が長いほど、濃度と収率の両方が上がります。抽出時間は蒸らし時間を変えれば調整が可能です。基本的には25~30秒ほど蒸らしますが、抽出不足と感じるなら5秒ずつ長めに、雑味を感じるなら5秒ずつ短くして最適なポイントを見つけましょう。
お湯の量
お湯の量が多いと濃度が下がり、収率が上がります。
コーヒーの濃度を上げるためには、「粒度の細かいコーヒー豆をたくさん使い、熱いお湯で長い時間抽出する」という形になります。濃度が濃ければコクや甘みを感じやすく、薄ければ香りや風味を感じやすいコーヒーになるでしょう。
また、渋みや辛みを調整するには、濃度と収率のバランスをとる必要があります。濃度と収率を調整するには、コーヒー豆の量かお湯の量を変えるのがポイントです。
「コーヒーの味わいを調整するというのは、収率を調整すること」といっても過言ではありません。
収率が高すぎると渋みや辛みを強く感じる可能性があるため、コーヒー豆の量を増やすかお湯の量を減らしてみましょう。酸味が強すぎて他の味わいが薄い場合には、収率を高めるためにコーヒー豆の量を減らし、お湯の量を増やしてみてください。
収率の調整を行うと、今度は濃度とのバランスがとれなくなる可能性があるため、少しずつ調整を変えて試すのがおすすめです。また、コーヒー豆によっても理想的なバランスは変わります。自分好みの味を見つけるために、味わいの変化を感じながら調整してみてください。
濃度と収率にこだわってワンランク上のコーヒーを楽しもう
濃度と収率によって、コーヒーの味わいは少しずつ変化します。濃度が濃いめなら甘みやコクを、薄めなら香りや風味を感じやすくなります。収率が高ければ苦みや渋みを、低ければ酸味を多く感じるコーヒーとなるでしょう。
濃度や収率を調整するには、コーヒー豆の量や粒度、お湯の量と温度、抽出時間に着目する必要があります。コーヒー豆の粒度や抽出時間でコーヒーの濃度を変化させつつ、コーヒー豆とお湯の量で収率を調節してください。
ワンランク上のコーヒーを目指して、味わいの変化を楽しみながらコーヒーの調整にチャレンジしてみましょう。