コーヒーから広がる、学びと未来。HARIOの“生き方探究”授業、潜入レポート!


理科の授業で「コーヒーサイフォン」!?
そんな驚きから始まった、HARIOと小学校による特別授業プロジェクト。
2024年12月に東京都内の小学校で初回が実施され、子どもたちは本物のコーヒー器具を使って、蒸気圧や抽出の仕組みを五感で体験。楽しみながら「科学の面白さ」にふれる時間となりました。

そして今回はその第2弾。小学生がコーヒーを淹れる!? …だけじゃない!
テーマは“キャリア教育”、でもその本質はもっと深く、「自分らしい生き方を考える時間」でもあります。

「メーカーってどんな仕事をしてるの?」
「“好きなこと”って、仕事にできるの?」
大人でも悩むような問いに、子どもたちはコーヒーを通して自分なりの答えを探していました。

「コーヒー器具のHARIO」と「未来を考え始める小学生」。
一見、交わることのなさそうなふたつが、教室という場所でどんな学びを生み出したのか?
今回も、コーヒーステーション編集部がその授業に潜入してきました!

 

「好き」が未来をつくる?コーヒーから広がる、“仕事ってなんだろう?”の入り口


第2回目は、2025年2月20日、東京都昭島市にある、富士見丘小学校で6年生向けに開催。この日教室に立ったのは、富士見丘小学校の竹内先生、HARIOの社員中村さん。授業は、このおふたりがともに企画・設計したオリジナルプログラムです。
“coffee teacher”の肩書を持つ竹内先生は、通常学級から特別支援学級まで、幅広い教育現場での経験をもつ先生。
大切にしているのは、「子どもたちの“好き”を育て、世界を拡げること」です。
その想いから、多彩な分野のゲストを学校に招き、“本物”に出会う学びの場を実践してきました。

軸にある「コーヒー」は、そんな出会いのきっかけであり、大人の“本気”を伝えるための入り口でもあります。
「もっとたくさんの生き方や働き方を見せて、子どもたちの世界を拡げたい」
おふたりの熱い想いが共鳴し、今回の出張授業を実現させるきっかけとなりました。
授業の始まり、中村さんが語ったのは「自分が子どものころに好きだったこと」。
ゲーム、剣道、絵を描くこと……そんな話を交えながら、「今の私は“コーヒーの道具”が好きなんです」と笑顔で切り出す姿に、教室の空気がやわらかくなっていきました。

今回の授業では、まず「HARIOってどんな会社?」という紹介からスタートし、コーヒーに関わるさまざまな企業の存在──農園で豆を育てる人、焙煎する人、カフェで淹れる人など──を紹介しながら、HARIOはその中でも「道具をつくるメーカー」として関わっていることを伝えました。

“企業”や“働く人の役割”といった話題は、小学生にとって普段なじみが薄いもの。
しかも「コーヒー “器具”のメーカー」という、少しニッチな業界の話となればなおさらです。
でも、“コーヒー”という身近な切り口から学ぶことで、「好き」や「好奇心」を探究するように学びを深めていく子どもたちの姿が、とても印象的でした。

 

五感で学ぶ「コーヒー体験」


座学だけでは終わらないのが、HARIOの授業。
今回も“体験する学び”を大切に、コーヒー抽出の実践からスタートしました。

まずは、ハンドドリップとフレンチプレスにチャレンジ。
子どもたちは実際に器具に触れながら、それぞれの淹れ方の手順や使い心地の違いにも興味津々。
「ドリップの方が苦いけどぽたぽた落ちる様子が癒される」「プレスの方が押すだけで簡単!」といった声があがり、抽出方法によって苦味や風味が変わることにも、驚いた様子でした。
今回使用したのはノンカフェインのコーヒー豆。
安心して試飲できるよう配慮したうえで、子どもたちは抽出したてのコーヒーをひとくち。
“味”だけでなく“淹れ方の違い”にも五感を使って向き合い、コーヒーの奥深さを体験している姿がとても印象的でした。

 

「使い方を見抜け!」スイッチドリッパーの謎に挑戦


続いて登場したのは、HARIOの人気器具「浸漬式ドリッパー スイッチ」。
見た目は普通のドリッパーのようでいて、底には“スイッチ”がついているこの器具。
今回は「このカタチには意味がある!使い方を見抜け!」という課題を通して、子どもたち自身に考えてもらう時間も設けられました。

「ドリッパーの進化版?」「何が変わるんだろう?」と頭をひねりながら触れていく中で、最終的にこのスイッチドリッパーが「簡単」「美味しい」「洗いやすい」の3点を意識した、“ハンドドリップ”と“フレンチプレス”の良いとこ取りであると伝えると、「なるほどー!」「そんなことまで考えてるんだ」と“道具の裏にある工夫”を知って、子どもたちの顔には発見の表情が浮かんでいました。

目の前の道具を「観察して考える」ことで、身のまわりにある“モノづくり”への視点が、少しずつ広がっていくような時間でした。

 

“光る魔法の道具”サイフォンが登場


そしてクライマックスは、“光る魔法のコーヒー器具”として紹介されたサイフォンの実演。
美しい光を放つ「ビームヒーター」を使って抽出する様子に、子どもたちは目を輝かせて見入っていました。

本来サイフォンは、アルコールランプを熱源として使用する器具ですが、HARIOでは「もっと早く、もっと安全に、そして味も安定させたい」という現場の声に応えるかたちで、電気式のビームヒーターを開発。
火を使わずスピーディに抽出でき、味も安定するという点が、特にプロの現場で求められるニーズにマッチしています。
こうした「現場の声」や「課題」に向き合いながら、製品を進化させていくことこそが、メーカーの使命のひとつ。
子どもたちはサイフォンの美しい光とともに、“ものづくりが進化していく理由” “ものづくりの探究”にふれる貴重な時間を過ごしました。
まさに教室は、小さな実験室のような熱気に包まれていました。

 

「好きなこと」を大切にするって、どういうこと?


授業の終盤では、「なぜ今コーヒーが好きなのか?」「“好き”をどうやって仕事にできるのか?」をテーマに、中村さんが自身のキャリアストーリーを語ってくれました。

子どもの頃を振り返ると、夢中になっていたのは、料理や絵を描くといった「何かをつくること」や、楽器、剣道で使う「器具」だったといいます。
そのときどきで興味のあるものは少しずつ変わってきたけれど、振り返ってみると、どれも不思議と次の“好き”へと繋がっていた気がする、と。
そして今、中村さんが心から大切にしているのが「コーヒー」と「コーヒー器具」。
幼い頃の“好き”が少しずつ形を変え、点と点が線になるように今の仕事に繋がっていると話してくれました。

話を聞く子どもたちの目は真剣そのもの。
また、実際にお客様から届いた感謝の手紙も紹介。
「自分たちがつくった道具が、誰かの思い出や人生のひと場面の中にそっと存在している。そう思うと、ものづくりって本当に幸せな仕事だと感じるんです。」と語る中村さん。
その言葉には、子どもたちはもちろん、大人の心にもじんわりとあたたかさが広がる余韻がありました。
最後に中村さんが伝えたメッセージはこうです。

「いま“好きだな”と思えること、興味があることを、友だちや近くの大人に話してみてください。必ずみんな応援してくれます。」
たとえ今すぐ仕事には繋がらなくても、“好き”はきっと、未来の自分をつくるヒントになる。そんな思いが、子どもたち一人ひとりの心にやさしく届く時間になりました。

 
 

コーヒーから広がる、“自分らしい生き方”のヒント


今回の授業は、職業を知るキャリア教育にとどまらず、
「自分の“好き”ってなんだろう?」
「どうしてそれが好きなんだろう?」
そんな“生き方の入り口”に、子どもたちがそっと足を踏み入れるような時間になりました。

たった一杯のコーヒーを通して、五感が刺激され、好奇心が膨らみ、「仕事」や「大人になること」への見え方が変わっていく。
それは、暮らしに寄り添う道具をつくる家庭用品メーカーだからこそ、届けられる学びなのかもしれません。
「暮らしの中のワクワク」や「好き」という気持ちが、誰かの未来を動かす力になる。
そんな想いのもと、HARIOはこれからも、子どもたちと向き合いながら、“生き方を探す学び”の場をそっと紡いでいくのだろうと感じました。

なお、この特別授業は、3月にも実施されています。
次はどんな気づきや笑顔が生まれたのか…その様子も、またご紹介しますのでお楽しみに。

HARIOのSDGs:https://www.hario.com/about/SDGs.html

第一回の記事はこちら

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コーヒーステーション編集者
自分ではなかなか難しいコーヒー選びをサポートすること。コーヒー器具の開発、販売を手がける株式会社ハリオ商事自ら、コーヒーの淹れ方やコーヒー豆の選び方などを発信しています。

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